2年連続初戦突破に貢献した高知の2年生右腕の最大の武器は敵も驚く「カットボール」



辻井 翔大(高知)

<センバツ高校野球:高知4-1北陸>◇18日◇1回戦

 第95回記念選抜高校野球大会の初日、第2試合では高知(高知)が4対1で北陸(福井)を破った。ヒーローとなったのは大会初先発となった2年生右腕だった。

 初登板の辻井 翔大投手(2年)が快投を見せた。常時130キロ〜135キロ前後の速球に、スライダー、カーブをテンポよく投げ分けていきながらゲームメークした。

 好打者が多い北陸打線を8回途中まで1失点の好投。光ったのはカットボールだった。120キロ前半で小さく切れる軌道。辻井はこれまで中継ぎ中心だったが、「春では先発をやりたいと思って、冬場では体重増加に励んでスタミナアップに励むだけではなく、何か欲しいなと思ってこの冬はカットボールの習得に励みました」。

 今まではスライダー、カーブ、スプリットなどがあったが、カットボールの習得に取り組んだ。自分の理想に近づけるよう、ラプソードを使った。回転軸、回転数などを測り、自分の現在地を把握しつつ、辻井はこの冬に自分のスタイルを築き上げ、春先の練習試合で好投を見せ、センバツ初戦の先発マウンドを勝ち取った。

 センバツ初戦のマウンドは1回裏に1失点。「いきなり焦ってしまった」というが、自身の適時三塁打で逆転に成功したことで徐々に落ち着きを取り戻した。

 リードする高木 心寧捕手(3年)は「カットボールが持ち味ですけど、まずはストレートが走らないと精度が低い球種なので、序盤はストレートをしっかりと投げさせる意識をさせました」。

 135キロ前後の直球で押す場面も多く、要所で得意球のカットボールでねじ伏せた。対戦した北陸の打者も驚いていた。好打者の水野 伸星外野手(2年)も「あまり想定しないボールでした。とにかく曲がらないのが厄介なんです。最後まで捉えられませんでした」と意図しない軌道に手を焼いていた。それだけ効果的な球であった。

 堂々のマウンドさばきで勝利に導いた辻井。さらにリリーフして好投した大型右腕・平 悠真投手(2年)もいる。今後の高知にとっても希望が持てる初勝利となった。

(取材=河嶋 宗一