東京実が、追いすがる昭和鉄道を振り切って辛勝

東京実・和智直飛
<春季都大会1次予選:東京実3ー2昭和鉄道>◇12日◇1回戦◇あきる野市民球場
お互いにもう1つ、打線に決め手を欠いていたといってしまえばそれまでかもしれないけれども、ロースコアの競り合いで引きしまった展開の試合だった。昭和鉄道は山下直毅投手が粘りの投球で、走者を出しつつも失点を最少限に留めていた。また、東京実は4人の投手を繋いでいきながら、何とか昭和鉄道の打線をかわしていった。
「大物食い」ということで、時に強豪校を下すこともあって、周囲をびっくりさせることもある東京実だが、今年は例年に比べると、いくらか粒が小さいというか、パワフルさに欠けるというところは否めない。もっとも、つい先日までは期末試験もあったということで、打撃陣も打ち込み不足ということは否めない事実なのかもしれない。この日、何とか勝ったことで、次の試合までにはもう少し打ち込みもできてパワーアップしていけるのではないだろうか。
2回、東京実は2死一、二塁から、8番濱田の右前適時打で先制。3回にも2死走者なしから村石の中越え二塁打と吉田の中前打と、中軸の長短打で追加点を挙げてリードを広げた。
しかし、昭和鉄道も追いかける。5回に東京実の先発左腕本橋六玖郎投手を捉えて、6番田﨑がチーム初安打を放つと、四死球と暴投で生還して1点差とする。さらに2人目の菅野星那投手に対しても、6回に3番木川の右前打と暴投、4番伊藤瑛一の左越え二塁打で同点とした。流れは、むしろ昭和鉄道に傾いていったかと思われた。
しかしその裏、東京実は1死から5番大沢が左中間二塁打。2死二塁となった後、内野ゴロ失策で生還した。結局、これが決勝点ということになった。健闘していた昭和鉄道としては、いくらか悔いの残る失点となってしまった。
東京実は、8回からは外野を守っていた左腕・金本壮臣投手をマウンドに送って逃げ切りを図ったのだが、1死は取ったものの安打と四球などでピンチを招いた。松田稔監督は、「次の試合のことも考えると、使いたくはなかったのですが、展開が展開でしたから、投入せざるを得なかった」というエースナンバーを付けた右サイドスローの和智直飛投手を送り出した。9回は満塁のピンチにもなったが、最後は当たっている相手3番打者を打ち取った。
松田監督は、昨秋の新チームの際に前任のベテラン山下秀徳前監督から引き継いでコーチから監督就任となった。まずは、本大会進出を果たしたいところであろう。
(取材=手束 仁)