順天がまとまりの良さを示して逆転、7回コールドで渋谷教育学園渋谷を下す



この日、4安打と大活躍の順天・西村

<春季都大会1次予選:順天9-2渋谷教育学園渋谷(7回コールド)>◇12日◇1回戦◇あきる野市民球場

 順天は高校女子駅伝では、東京都を代表する強豪校として知られている。今年度も昨年暮れの京都で行われた全国高校駅伝に出場している。野球部としては特別強化指定部ということではないのだけれども、負けない姿勢で向かっていきたいところであろう。渋谷教育学園渋谷は通称「渋渋」と呼ばれている、進学校である。系列には「渋幕」と言われている千葉県を代表する進学校の渋谷幕張(通称「渋幕」)がある。

 淡々とした感じで始まった試合だったが2回、渋谷教育学園渋谷が2死三塁まで進めたところで、相手失策で先制。順天の内野手がちょっとアウトを焦ったところで球が手につかなかった。 

 反撃したい順天は3回、9番渡邉 恭太が巧みなバント安打で出塁するとすかさず二塁盗塁。さらに捕逸で三塁へ進むと、高柳のポテン安打でかえって同点。足で稼いだ同点劇だった。さらに順天は1死三塁とした後に、庄司、西村と3番、5番に相次いで三塁打が出て3対1と逆転。

 これで試合の流れは順天に傾いていった。

 5回にも順天は、2死走者なしから死球後、当たっている西村の二塁打と藤井、山口の連打で3点を追加。6回にも、四球と失策絡みでさらに2点を追加する。そして7回、先頭の西村がこの日4本目の安打を放って出塁すると内野ゴロで進み、2死二塁から8番土田が詰まりながらも二塁手の後ろへ運んで、これが7点差となる適時打となり、順天はコールドゲームで代表決定戦進出ということになった。

 順天の齋藤成利監督は、「形としてはコールドゲームでしたが、2回の先制点を許したところなんかはミスからですし、まだ、課題は多いと思います。それでも、投手がしっかりと投げてくれていますから、試合は崩れていません。守りも、ある程度はきちんとやれていますから、こういう結果を導けたのでしょう」と振り返っていた。背番号は5だが、藤井投手に対する信頼は大きいようで、頼りになる存在のようだ。

 ただ、普段の学校での練習グラウンドは狭いということもあって、外野手が生きた打球を追いかけていく機会は少なく、打球勘というか、反応も「もう一つ遅くなってしまう」ということは否めないようだ。「生きた打球に関しては、やはり実戦を通じて慣れていくしかないと思っていますので、こうして公式戦で試合ができるということはありがたいです」と、齋藤監督もこの勝利は、ブロック予選としてもう一つ戦えるということも含めて、公式戦という場で、実戦の打球を選手たちが体感できることは大きいと感じている。

 この試合を見る限り、順天は、相対的に攻守にきちんとまとまった形になっているなという印象でもあった。

 渋谷教育学園渋谷としては、2本の長打を放つなど、5安打で2点を奪ったものの、安打が繋がらなかったということで、大きく得点していくことはできなかった。また、それだけ順天の藤井投手も上手に投球をまとめていたといっていいであろう。

(取材=手束 仁

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