都立雪谷の御園、大器の片鱗をみせる4回零封!9人で戦った都立翔陽、初回に大量失点

都立雪谷・御園拓摩
<春季都大会1次予選:都立雪谷15ー1都立翔陽(5回コールド)>◇12日◇1回戦◇明大中野八王子グラウンド
都立の強豪、都立雪谷に新2、3年生の部員9人の都立翔陽が挑んだ一戦は、初回で勝負がついた。
都立翔陽は背番号1の土屋壮平が先発のマウンドに上がったが、1回裏打者7人に安打1本に四死球6の乱調。暴投に押し出しで3点を失ったところで降板した。右翼手の岡田悠生が急遽登板し、都立雪谷の8番・川原弘暉を左飛に打ち取る。これが犠飛になり1点を失ったものの、ようやく1アウト。その後も1番・山本倖大の二塁打に失策も重なり、いきなり9点が入った。
こうなると試合の関心はプロも注目する都立雪谷のエース・御園 拓摩投手(3年)に集まる。御園は身長187センチ、75キロという、すらっとした体から、しなやかに力のある球を投げる。最速は140キロほどだが、「球速よりも、きれいな真っ直ぐを投げることを意識しています」と言う。
この試合、1回表に翔陽の1番・小川悠仁を四球で歩かせる。小川は牽制で刺され、3人で攻撃が終わったが、やや不安定な立ち上がりだった。しかし2回以降は持ち直す。「最初はマウンドが少し合いませんでしたが、修正することができました」と言う。長身ながら、器用さもあるようだ。都立雪谷の伊達晶司監督は御園について、「球質がいいです。1人で黙々とトレーニングができる子です」と語る。
御園は4回を投げて、奪三振は3だが、2安打無失点。3回裏には自ら本塁打を放っている。高校に入って初本塁打だという。3回裏には御園に加え、3番の吉田一輝も本塁打を放つなどして6点を追加した。
都立翔陽は一方的にやられている印象だが、走者が出れば、積極的に足を使った。こうした走塁は都立雪谷の捕手・山崎光太の強肩に阻まれた。「たくさんランナーが出るわけではないので、出たら行きました。相手のキャッチャーが良かったです」と、都立翔陽の丸山優介監督は言う。
そうした積極的な姿勢は、都立雪谷の投手が長浜寛大に代わった5回に実を結び、安打2本と四球で2死満塁とし、1番・小川の内野安打で1点を入れた。試合の大勢には影響がないものの、執念でもぎとった1点だ。チーム数の多い東京では、学校間の力の差があるのは仕方ない。しかし現在開催されているWBCでチェコがみせているような、弱者でも最後まで食らいつく姿勢は大事だ。都立翔陽はまだその域には達していないが、一生懸命さはみせることができた。今後は新入生が加わり、チームがどう変化していくか。今後に期待したい。
都立雪谷は初戦としては順調な滑り出しだ。御園投手を中心にどういう試合をするか。戦いは始まったばかりだ。
(取材=大島 裕史)