二松学舎大学附 逆転で準決勝進出!世田谷学園躍進の立役者・二見 力尽きる



二松学舎大附・大矢青葉

<秋季東京都高校野球大会:二松学舎大附6-2世田谷学園>◇30日◇準々決勝◇スリーボンドスタジアム八王子

 今大会、関東一に続き早稲田実業も破り、台風の目になった世田谷学園は、昨年の夏から3季続けて甲子園に行っている二松学舎大附に挑戦し、立ち上がりは善戦したものの、最後は力尽きた。

 序盤は二松学舎大附にとって不安な展開になった。1回表、二松学舎大附は1番・毛利 拓真外野手(2年)が左前安打を打ち、一気に二塁まで進もうとしたがアウトになり得点できない。

 その裏、世田谷学園は、二松学舎大附の先発・大矢 青葉外野手(2年)の立ち上がりを攻める。まず今大会当たっている2番の加川 大海外野手(2年)が死球で出塁し、3番・井波 晃大外野手(2年)、4番・海老澤 遼人内野手(1年)の連続安打で世田谷学園が1点を先制する。先制打の海老澤は、「真っ直ぐを打ちました。監督さんから弱気になるなと言われ、センターにはじき返しました」と語る。続く5番・二見 純太投手(2年)も中前安打を放ち、さらに1点を追加する。しかし一塁走者の海老澤は、三塁に進もうとしたがアウトになる。試合後、世田谷学園の成瀬智監督は、「3点目を取り切れなかった」と語っているが、結果論としては手痛いアウトであった。一方、二松学舎大附の市原勝人監督は、「大矢がコントロールを意識しすぎました」と語る。

 世田谷学園は3回裏にも1死一、二塁のチャンスを作ったが、物にできない。二松学舎大附押切 康太郎捕手(2年)が、ボール球になることをおそれずスライダーなどの変化球を思い切って投げさせるなどしたため、大矢も次第に投球のリズムを取り戻して来る。それとともに、二松学舎大附は攻撃も活発になってきた。

 4回表は、2死一塁から6番・五十嵐 将斗外野手(1年)が二塁打を放ちまず1点。5回表は2死一、二塁から4番・片井 海斗内野手(1年)が右前適時打を放ち同点に追いつく。

 秋季大会は、ほぼ1週間試合間隔が空くとはいえ、関東一早稲田実業という強豪校と対戦してきた世田谷学園の先発・二見には、疲労が確実にたまっていた。

 6回表には7番・日笠 礼凰内野手(2年)の二塁打に、主将の8番・押切の左前安打で二松学舎大附が逆転する。世田谷学園の二見は、「7回くらいから握力がなくなってきました」と言う。

 7回表には2死から4番・片井が左前へ。外野手が深く守っているため、片井は一気に二塁を陥れる。長打力が注目される片井であるが、「広角に打つことを意識しています」と本人が言うように、打球を打ち分けている。足もそれほど速そうにはみえないが、50メートルを6秒6で走り、決して遅くはない。この回敵失もあり、二松学舎大附が1点を追加する。

 二松学舎大附は6回裏からエースの重川 創思投手(2年)が登板。捕手の押切が、「ストライクをいつでも取れるので、ボールをうまく使って勝負できます」と語る重川の投球は安定している。

 世田谷学園は9回から疲れのみえる二見に代わり、石橋 康正投手(1年)、田邉 優河投手(2年)という2人の投手を登板させたが、2点を失い、6対2で二松学舎大附が勝利を収めた。

 世田谷学園は強豪を相次いで倒しての準々決勝進出は大健闘であった。しかし成瀬監督が、「力のないチームがここまで来れた。でも勝てない試合ではなかった」と語り、守りのミスなど、わずかな詰めの甘さを悔やんだ。ただそこが、もう一段上の段階に上がるには、克服しなければならない課題である。

 二松学舎大附は楽な試合ではなかったが、勝ち方を知っており、試合運びが安定している。準決勝は帝京と対戦する。優勝候補同士の一騎打ちになる。

(記事=大島 裕史)

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