壮絶なシーソーゲームを制した国士舘がベスト8進出!岩倉も終盤に意地の粘りで来春に大きな収穫

逆転の適時打を放った国士舘4番中島 力
<秋季東京都高校野球大会:国士舘8-6岩倉>◇23日◇3回戦◇駒沢オリンピック公園
岩倉は、15日に行われた2回戦において、主将である堀田 秀哉内野手(2年)が9回に逆転サヨナラホームランを放ち16強入りを果たした。対する西東京の強豪・国士舘は、2回戦を不戦勝で勝ち進んだ。岩倉がシード校・国士舘相手にどのような戦いを見せるか注目を集めた試合は、激しいシーソーゲームとなった。
岩倉の先発は島﨑 健太郎投手(1年)。小柄ながらもコーナーに投げ分ける制球力で凡打を築くのが持ち味だ。その立ち上がり、豊田 浩之監督が「国士舘打線の圧に押されてしまった」と話したように、島﨑の持ち味である制球が定まらない。初回こそ安打を許しながらも無失点に抑えたが、2回には四球で出した走者を三塁まで進められ8番・黒坂 光希捕手(2年)の適時内野安打で先制を許す。
国士舘の先発は新里 塁投手(2年)。3回まで安打を許しながらも、130キロ台の直球と120キロ付近の変化球を低めに集め、岩倉打線を無失点に抑える投球を見せる。
試合は4回裏に動く。岩倉は、2死から7番・海藤 大空外野手(1年)がセンターへの二塁打、8番・島﨑 健が粘りを見せて四球を選び2死一、三塁のチャンスを作る。9番・赤星 幸弥外野手(2年)が左前へ同点となる適時打を放ち、なおも2死二、三塁の場面で1番・治部 大斗外野手(2年)が右前へ適時打を放ち逆転に成功した。
5回表、岩倉はここを抑えて試合の主導権を握りたいところだが、2つの四球で走者を溜め2死一、三塁のピンチを招くと、国士舘4番・中島 力外野手(2年)に適時二塁打を浴び、再びリードを許す苦しい展開となった。
その裏、国士舘は2番手として鈴木 琉夏投手(2年)がマウンドに上がる。鈴木は、5回、6回と岩倉打線を無失点に抑えてチームに流れを呼び込む。
すると7回、国士舘は1死二、三塁で6番・真砂 龍太内野手(2年)の犠飛と、7番・石橋 駿平外野手(2年)の右中間を抜くランニング本塁打などで、一挙4得点を挙げリードを5点に広げる。
試合の勝負が決まりかけたかのように思われたが、岩倉打線が粘り強さを見せる。8回の岩倉の攻撃。四球と安打で無死満塁のチャンスを作ると、代打・三浦 太助捕手(2年)の内野ゴロの間に走者1人が生還。さらに、寺川 瑠之介捕手(2年)の中前適時打と、8番代打で出場していた笠原 成一郎内野手(2年)の中前適時打で点差を僅か1点に縮める。
しかしながら、9回表に2番手の堀田が先頭の7番・石橋に四球を許し、盗塁と進塁打で三塁まで進まれると9番・岡田 大幹投手(2年)の内野ゴロの間に走者がかえり、またしてもリードを広げられてしまう。この1点が岩倉に重くのしかかり、反撃はあと1歩及ばなかった。
試合後、接戦を制した国士舘の箕野豪監督は「最後に粘られてしまい非常に苦しかった」と試合を振り返った。また、2回戦を不戦勝で勝ち上がったことについては「調整はとても難しかったが、初戦に比べれば体も動いていた。突出した選手がいるわけではないが、まとまりのあるチーム。チームで対策を練って次も良い試合にしたい」と次戦の強豪・東海大菅生相手にもチーム一丸で挑むことを誓った。
一方、惜しくも試合に敗れた岩倉の豊田監督は「スコアだけ見れば接戦だが、差は大きい。一球の意味をまだ分かり切れていない」と強豪・国士舘との力の差を感じたようだ。それでも終盤の粘り強さに関しては「今大会の収穫はチームの粘り。予選から良く粘って戦ってくれた」と納得の表情を見せた。
2回戦ではサヨナラ本塁打も放った主将で4番の堀田は「ボールをたたく意識だったが、今日は自分のスイングを見失ってしまった」と反省し、2番手としてマウンドに上がった投球についても「スライダーの調子が上がらず、カーブを多用せざるを得なかった」と課題を残した。それでも、「力がない中で本大会2勝できたことは大きい。粘り強さを武器にして、春では低く強い打球で繋ぐ野球をしたい」と前を向いた。一冬を越えて、どのような粘り強さを見せてくれるのか期待したい。(記事=編集部)