国士舘がテンポのいい投手戦を制し、駿台学園を下して2回戦進出

7回二死までを2失点に抑えた国士舘・岡田君
<秋季高校野球東京都大会:国士舘4-2駿台学園>◇9日◇1回戦◇市営立川
この夏の西東京大会ではベスト4に進出した国士舘。秋季大会では2018年、2019年と連続優勝も果たしている。この秋は、1次ブロック予選を2試合コールドで勝ち上がってきて、シード校扱いとなっている。その国士舘に挑む形となった駿台学園。ブロック予選では都立昭和に快勝しての都大会進出である。
試合は国士舘・岡田大幹投手(2年)、駿台学園は左腕の松崎瞬投手(1年)の両投手がお互いに持ち味を示し、早いテンポの投手戦という形で進んでいった。岡田は初回から3イニング、1人の走者も許さずパーフェクトに抑えていく。
松崎も自分のリズムでしっかりと投げていたが、3回の国士舘が均衡を破る。
この回の国士舘、先頭の9番・岡田が左前打して自ら、チャンスを作る。ここで1番・福正吉内野手(2年)が三塁打を放ち岡田が先制ホームを踏んだ。さらに、続く真砂龍太内野手(2年)も球に逆らわず大きな右犠飛を放って国士舘がこの回2点を先取した。
4回に駿台学園も1番・宮原光希内野手(1年)が初安打を放って反撃に入るが、岡田は慌てなかった。直球のキレもいいが、カットボールにスライダー、カーブ、チェンジアップと、多彩な変化球を投げ分けていくのが彼の持ち味。「横のスライダーが、もう一つ良くなかった」とは言うものの、6回までは1安打のみに抑えていた。
そして、国士舘は7回には1死から失策と石橋駿平外野手(2年)の一、二塁間をしぶとく破る安打で一、二塁として追加点のチャンスを迎える。ここで、駿台学園・三角裕監督は、ここまで好投してきた1年生の松崎を諦め、横田翔太郎投手(2年)を送り出した。その代わり端、国士舘の8番・黒坂光希捕手(2年)の一打は詰まりながらも二塁手と右翼手の間にポトリと落ちる安打となって満塁。ここで、9番岡田の打球は内野ゴロで、本塁封殺かと思われたが、悪送球となり2者がかえって国士舘としては幸運にも貴重な2点が追加された。それでも、横田は次打者の福こそ申告故意四球としたが、続く2人をしっかり内野ゴロで打たせて取った。横田自身としては決して打たれたという内容ではなかった。
4点を追うことになった駿台学園は8回、内田奏音内野手(2年)の二塁打と四球などで2死満塁として、2番・小林優斗外野手(2年)が右前へはじき返して2人がかえり、追い上げムードとなった。
勢いを止めたい国士舘の箕野監督は、ここまで好投して来た岡田を思い切って下げて、新里塁投手(2年)を送り出した。新里は起用に応えてこのピンチを三振で切り抜け、9回も2死から四球こそ与えたものの、しっかりと0に抑えて逃げ切った。
この4月から、永田昌弘前監督を引き継いで再び監督に就任した箕野監督は試合後、「岡田が低めに丁寧に球を集めていい投球だった。制球がいいので安心して見ていられた」と好投を称えていた。また、「守りがノーエラーだったのもよかった。相手投手の立ち上がりを見たら、そうは打てないだろうと思ったので、しっかり守っていけるかどうかということも大事だったので、良かった」と喜んでいた。
好投した岡田は、「7回までは、ほぼ思い通りの投球ができたけれど、8回は少し疲れもあって相手の攻撃に対応しきれなかった」と反省。しかし「横のスライダーが入っていかなかったけれども、それ以外は制球もよくいいリズムで投げられた」と、自身の投球にも納得はしていた。そして、先へ向けては、「もっと勢いに乗って、自信をつけていきたい」と、上を見据えていた。
敗れた駿台学園の三角監督は、「新チームがスタートした時に、投手がいないなという状況だったんですが、1年生の松崎が出てきてくれて、ある程度メドがついた。一冬、二冬越えて出てきてくれたらいいかなと思っていたのですが、思っていた以上に早い段階で試合で投げられるようになってくれた。今日もここまで投げてくれたのは、嬉しい誤算です」と、前向きに捉えていた。そして、2番手としてリリーフした横田とともに、「来春に期待はできる」と、敗戦の中でも好材料が多かったことを喜んでいた。
(記事=手束 仁)