サイクル安打の期待も 関東一の小さな切り込み隊長・西川 瞬が3安打3打点の大暴れ

関東一1番・西川 瞬
<秋季高校野球東京都大会:関東一10-0都立立川(5回コールド)>◇8日◇1回戦◇江戸川区
9月に開催された1次予選を勝ち抜いた精鋭64校による秋季東京都大会が8日から開幕。来年春センバツに繋がる大事な大会で、初戦に臨んだ東東京の強豪・関東一が、5回コールドで都立立川を下した。
初回に4番・佐々木 迅内野手(2年)の適時打で先制すると、2回、3回ともに1番・西川 瞬内野手(2年)に適時打が飛び出すなどで3回までで8点を奪って主導権を握ると、5回には代打・徳山 遼捕手(2年)の一打でコールドを決めた。
しかし、「公式戦の経験が少ないので、目指す野球はまだできていないです」と米沢監督。5回コールド勝ちの結果にも、試合内容に注文を付けた。関東一らしい足を使った攻撃にミスがあり、これから精度を高めていく必要性がありそうだ。
米沢監督も期待を寄せる数少ない経験者・西川も「自分も硬くなっているところがあった」と勝ち方に物足りなさを感じていた。自身この試合で3安打3打点、サイクル安打達成の期待もかかるような内容だったが、「相手に助けられたところもあるので、次戦に向けてしっかりやらないといけないと思います」と厳しい評価だった。
171センチとは思えない力強いスイングではじき返した。同じように体が大きくないが、長打を飛ばす日本ハム・近藤 健介外野手(横浜高出身)を目指してきた。打席内での意識は参考になることが多いという。
「追い込まれるまでは甘い変化球を捉えて、きわどいところを捨てる。2ストライクに追い込まれても簡単に三振せずに、逆方向にはじき返す。1打席ごとに考えて打っているところが参考になります」
中学時代は東練馬シニアでプレーしていたが、周りに比べて体が小さく、「引っ張っても打球が飛ばない」ことに徐々に気づいた。その中で同じような体格の左打者の近藤の打撃を見て、「アベレージヒッターとして活躍しよう」と心に決めて、中学3年生から今もなお意識し続けているという。
この試合では「荒れ気味の投手でしたので、初球から手を出さないように気を付けましたが、あとは初戦なので途半端な打撃ではチームが乗り切れないので、先頭打者として強く振る」ことを意識して、直球狙いの持ち前の鋭いスイングで快音を響かせた。
結果、1打席目から二塁打。2打席目は左中間への三塁打と勢いをつけただけではなく、どちらも追い込まれてから逆方向へのヒット。近藤を彷彿させる粘りと逆方向へのバッティングだった。
2回戦以降に向けて「自分たちの野球をしないと勝てないので、チーム一丸となって先を見据えずに一戦一戦やっていきたい」と目の前の一戦に集中していた。2回戦以降も注目したい。対して敗れた都立立川は18年ぶりの秋季東京都大会出場だったが、初戦で姿を消した。エース・関康太朗投手(2年)は胸をしっかりと張って力強く振り切った右腕から投じる最速132キロの直球を軸に立ち向かったが、強豪私学の打線は抑えられなかった。
指揮官の野口監督は「140キロを超えないと、関東一のような相手は抑えられない」とエースに明確な目標を提示。それにエース・関も「パワー不足なので、しっかりトレーニングを積みたい」とやるべき課題は一致していた。4月の都大会でどんな投手となるのか。
(記事=編集部)