明星学園がコールドで3回戦進出 堅実な野球で翔陽下す
<第104回全国高校野球選手権西東京大会:明星学園8-1都立翔陽>◇10日◇2回戦◇府中市民
府中市民球場で行われた第2試合は都立翔陽と明星学園が対戦した。
都立翔陽の先発はアンダースローの塚田祐貴。明星学園の先発はサイドスローの下山泰正と両校の技巧派エースの先発で試合が始まった。
先制したのは都立翔陽。1回表、先頭の1番平井岳杜が左前安打で出塁する。その後2死三塁となって4番小孫弘輝の中越え三塁打で幸先よく先制することに成功した。
明星学園は直後の1回裏、四球と安打で1死一、三塁のチャンスを作り5番・投手の下山が犠牲フライを打ちすぐに同点にした。
明星学園は続く2回裏、先頭の7番佐々木新之介が死球で出塁。次の打者がバントを失敗し1死一塁となるが、続く9番志水和磨もバントの構えを見せ、初球でバントを決めると、その後2死一、二塁となって2番中村爽矢のタイムリーで逆転した。
4回にも2点を加えた明星学園の勢いは止まらない。5回は1死後、7番佐々木が四球で出塁すると、8番荒井大智がバントでランナーを進め、再び2死二塁のチャンスを作る。ここで9番志水和磨が中前安打でつなぐと、1番松本航、2番中村の連続適時打で2点を加えると、3番田口優兜の打席でダブルスチールに成功し、この回3点目が入った。
少しずつでも点を返していきたい都立翔陽だが、チャンスをつくるものの、牽制死や併殺打などでなかなか得点することができず、1点でも失うとコールドゲームになってしまう状況に追い込まれていた。
7回表、明星学園は1死から1番松本が安打でこの日4回目の出塁をすると、その後、盗塁で2死二塁となり3番田口が3本目の安打を放ち、二塁走者の松本が一気に生還。8-1で明星学園がコールド勝ちを収めた。
試合後、明星学園の岩倉瑞監督は「下山が粘り強く投げて、上位打線がつながって1点ずつ加えた結果がいい結果につながったと思います」と話した。1死でも送りバントを続けたことについては「僕自身送りバントの有効性を感じてますし、走者が出たらバントは徹底して続けてきたことなので、スコアリングポジションにランナーを置いて、次のバッターに一本だしてもらうことを狙いとしてサインを出しました」と監督の作戦に選手が見事に応え、得点を重ねることに成功していた。
送りバントや盗塁でチャンスを作り、得点を重ねていった明星学園の攻撃は岩倉監督の考えを選手が見事に体現したものだった。
この試合4出塁の1番松本は「自分たちのプレーがしっかりできるように意識して準備してきました。自分は1番バッターとして出塁して得点することが役割だと思っているので、四球や安打で出塁して自分の役割を果たすことができてよかったです」と振り返った。
一方、敗れた都立翔陽の丸山優介監督は今日の試合について「(攻撃は)初回、2回と思い描いた展開だったのですが、2回に2死からの安打で得点できなかったことが少しギクシャクした部分です。(先発した)塚田は打たせて取る投手なのですが、そこがハマらず打たれた部分もあり、四球や死球の計算外のところで明星学園さんに丁寧に点数につなげられたことが、許されない失点につながってしまったと思います」と振り返った。
丸山監督は3年生が入学した2020年に赴任。3年生を指導してきただけに悔しそうな表情をしていた。先発した塚田は「自分は1年生の秋に転校してきて、3年生6人のおかげでチームに馴染むことができた。2年間でしたけど翔陽に来て、野球を最後まで頑張ってきてよかったなと思います。3年生、後輩たちにも感謝を伝えたいです」と話した。
(取材=編集部)