飯能vs川越南
球数80球から100を迎え、7回表裏の明暗
茶堂名留(飯能)
飯能市民球場の第2試合はスタメンに2年生が6人の若いチームである飯能対川越南との一戦である。共に似たようなチームカラーである両校の一戦は試合中盤までと後半で全く違う展開となった。
先発は川越南・永井佑征(3年)、飯能・茶堂名留(2年)と両エースが先発し試合が始まる。
川越南は初回飯能・茶堂の立ち上がりを攻め、一死から2番・北澤泰樹(2年)がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く佐々木稜太(2年)の所ですぐさま二盗を決め一死二塁とする。二死後4番・山田士鷹(3年)がライト前タイムリーを放ちまず1点、さらに続く永井もライト前ヒットを放ち二死一、三塁とすると6番・小川昴流(2年)も四球を選び二死満塁とするが後続が倒れ1点でこの回の攻撃を終える。
一方の川越南・永井は大きなカーブなどをうまく操り制球が良く飯能打線に連打を許さない。
対する飯能・茶堂も2回以降立ち直り、こちらも持ち味である制球力を武器に無失点で切り抜けるが、飯能打線は3回、4回と併殺に倒れるなど得点を奪えない。
それでも、5回裏、飯能はこの回先頭の茶堂がセカンドへの内野安打を放ち出塁すると、続く澁谷慶治(3年)がきっちりと送り一死二塁とする。さらに7番・髙嶋祐豊(2年)が四球を選び一死一、二塁とすると、続く赤堀桂治郎(3年)のセカンドゴロの間に走者がそれぞれ進み二死二、三塁とする。ここで9番・木村壮志(2年)が左中間へ2点タイムリー三塁打を放ち逆転に成功し試合の前半を終える。
永井佑征(川越南)
そして、これまで両エースの好投もあり2対1とロースコアで迎えた7回に試合は激しく動き始める。
まず7回表、1点を追う川越南はやや疲れの見え始めた飯能・茶堂に対し、この回先頭の鳥濱幸斗(2年)がライト越えの三塁打を放ち無死三塁とすると、続く八子剛(3年)が死球を選び無死一、三塁とする。一死後2番・北澤のスクイズは失敗に終わりチャンスは萎んだかに思えたが、二死後、3番・佐々木がセンター越えの2点タイムリー三塁打を放ち再度逆転に成功する。これで勢いに乗った川越南打線は、続く山田がレフト前タイムリーを放つと、5番・永井もセンター前ヒットを放つがここで走塁ミスが起きる。一走・山田が自重したのに対し、打者走者・永井が前の走者を見ずに二塁へ突っ込む。これを見て山田が慌てて三塁へ突っ込んだのに対し、センターは三塁へ送球するが山田はセーフとなりラッキーな形で二死二、三塁とチャンスが広がる。ここで6番・小川がファースト強襲の2点タイムリーを放ち結局この回一挙5得点を奪うビックイニングとし6対2と4点差をつけた川越南が試合の流れを掴んだかに思われた。
だがその裏、飯能打線が猛反撃を見せる。飯能・茶堂同様に疲れの見え始めた川越南・永井に対し、この回先頭の髙嶋が四球を選び出塁すると、続く赤堀がレフト前ヒットを放ち無死一、二塁とする。さらに続く9番・木村はきっちりと送れず追い込まれるが、レフト前ヒットを放ち無死満塁とチャンスを広げると、ここで1番・鎌田晃生(3年)、杉浦光哉(2年)が連続押し出し四球を選び6対4とし永井をマウンドから引きずり降ろす。飯能打線は代わった2番手・布施に対しても攻撃の手を緩めず、4番・吉川雄基(2年)がピッチャー強襲のタイムリーヒットを放ちまず1点、続く茶堂も押し出しの四球を選びついに6対6の同点に追いつく。イケイケとなった飯能はさらに6番・澁谷がショートゴロを放つとこれが2点タイムリーエラーとなり8対6とする。続く髙嶋も三塁ベース直撃のタイムリーヒットを放ちさらに1点を追加し結局この回一挙7得点を奪うビックイニングとし9対6と大逆転に成功する。
川越南も最終回粘りを見せ、2番手・髙嶋に対しこの回先頭の佐々木がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く山田も四球を選び無死一、二塁とチャンスを広げる。だが後続が倒れ6番・小川の犠飛による1点のみに終わり万事休す。
結局飯能が9対7で川越南を逆転で下し初戦を突破した。
まずは勝った飯能だが、エース茶堂が80球から100球を迎えた所で突然捉えられ、劣勢となった所からの大逆転は見事であった。
「コロナの影響で試合数や練習もこなせていないので、これまで練習試合でも完投はさせていない」(飯能・羽生監督)
と投手陣に不安材料もあるが、2年生の多い若いチームであり、しかも昨夏の代替大会の経験を積んでいる選手が多い。次の相手はサブマリン鈴木を擁する川越工業であり苦戦が予想されるが、若いチームは勢いに乗ると手が付けられなくなる時がある。その勢いでぶつかって行きたい所であろう。
一方の川越南は7回表一気に飯能・茶堂を攻略し流れを掴んだかに思われたが、その裏思わぬ落とし穴が待っていた。初回にあと1、2点追加出来ていたら全く違う展開になった可能性があるだけに悔やむべき点であろう。それにしても3投手で与四死球13は多すぎる。それもその四球のほとんどが7回以降である。
「スタミナの部分はコロナ禍で練習試合もあまり組めず練習でも詰め切れていない」
と川越南・栗原監督が危惧していた部分がこの日出てしまった形だけに夏までに投手陣の整備が最重要課題となるであろう。幸い好素材はいる。特にこの日3番手で登板した佐々木は未だ直球は120km台だそうだが、直球の回転数が多く、変化球のキレもある。この日もやや乱れたが課題の制球力、特に直球がもう少し低めへ集まるようになると特に秋以降などは投打に面白い存在になる可能性を秘めている。
(取材=南 英博)