日大鶴ヶ丘、前半苦しみながらも6回に一気に爆発で早大学院を下す



満塁で走者一掃の三塁打を放った日大鶴ヶ丘・木村君

 春季東京都大会は、この日から2回戦となる。今春は、新型コロナの影響で一次ブロック予選を実施することが出来なかったということで、昨秋の都大会出場の64校のみで春季大会を争うこととなった。その2回戦がこの日から始まった。

 日大鶴ヶ丘は山本君、早大学院は中澤君とエースナンバーを背負った両左腕が先発。山本君は182cmの長身を利して投げおろしてくる。中澤君はサイズとしてはひと回り小さいかなという感じだが、しっかり脚を上げてためを作って切れ味よく投げ込んでくる。

 この二人の投手戦という様相で始まった。早大学院がやや押し気味で迎えた5回、一死から2番田村君がライトへおっつけながらソロホーマーを叩きこんで先制。打球を捉えてから球が伸びていくというのは。やはりスイングが強い証である。「一番の強打者だけれども、敢えてこの日は4番ではなくて2番に置いた」と木田茂監督の期待も高い逸材である。 ただ、如何に中澤君が好投しているとはいえ、早大学院としてもこの1点だけではあまりにも不安だ。それが的中した形になったのが6回だった。

 この回の日大鶴ヶ丘は一死から9番山本君が右中間へ三塁打。これが突破口となった。1番渡邉君は四球で、すぐに二塁へ進む。代打足立君はタテのスライダーに空振り三振となったが、その球がキレすぎて後逸となり、三塁走守山本君は幸運の生還で同点となって、なおも一死三塁。このことで、早大学院の石原君としても、タテ系の変化球を要求しづらくなったというところもあったかもしれない。

 そんなこともあってか、慎重になりすぎて連続四球で押し出しとなり日大鶴ヶ丘は逆転。さらに満塁という場面で5番の木村君が一掃の三塁打を中越に放つ。その後に代った佐々木君から犠飛も奪って、日大鶴ヶ丘はこの回6点が入った。

 まさに、ちょっとしたことからビッグイニングになってしまう。1球の恐ろしさというか怖さというか、そんなことも教えてくれたこのイニングだった。

 日大鶴ヶ丘は8回にも2人目の佐々木君を攻めて、二死走者なしから、黒須君、木村君の連続二塁打に四球と、最後は北野君が3人目の椎名君に中前打でコールドゲームとした。前半の展開からは、思いもよらないスコアとなってしまった。

 日大鶴ヶ丘の萩生田博美監督は、「ウチらしい試合と言えばウチらしいですね。相手に勝てるかもしれないかなと思わせておきながら、粘って凌いでいるうちに、何となく点を取っていってしまうという展開。ただ、一歩間違えたら逆に、ウチがコールドでやられていた可能性もありました」と前半の展開の苦しさもあってスコアの割には苦戦だったという思いだった。

 そして、山本君に関しては、「変化球を冬の間に練習してきたんですけれども、捕手の方が秋のままの頭でリードしていたので、真っ直ぐとチェンジアップだけで、単調でした。夏に向けては、それだけでは抑えきれませんからね。ベンチでもしょっちゅう言っていたんですけれども…。5回くらいからやっと変化球を上手に交えられるようになりましたね。このあたりは夏へ向けても、今後の課題です」と、語っていた。

 前半の展開からしたら、何とか逃げ切れるかも知れないという形の早大学院だったが、やはり1点リードのみでは厳しかった。2回の満塁、3回の無死の走者を生かし切れなかったのも響いた。木田監督は、「ここというところでの守りの弱さが出てしまったかな。こういうところが、お坊ちゃん育ち集団だからね」と残念がった。四球で走者をためてしまって長打で帰されるという、一番やってはいけないパターンが出てしまったところが最も反省材料となった。まさに、厳しい場面で、どこまで守り切れるのかというところである。「期待出来そうな新入生も何人か入ってくるので、夏へ向けてはもう一度作り直していく」と、木田監督は切り替えていた。

(記事:手束 仁