都立日野が勝負強さ見せてタイブレークの末、東亜学園にサヨナラ勝ち



中盤から調子を上げてきた都立日野・木下君

 この春の東京都大会は、新型コロナの影響で結局一次予選が開催できず、都大会に出場できたのは、昨秋と同じ64校のみということで開催された。その中で、都立校は15校あったが、初戦突破したのは3校のみ。そのうちの一つの都立日野だが、嶋田雅之監督は、都教委からもさまざまな規制があって、練習試合も満足するようには出来なかった。「それでも、打倒私立には並み並みならぬ意識で向いたい」と、強い気持ちを示しており、選手たちもそれに応えていこうという姿勢が伝わってくるチームである。

 その都立日野が、粘り強さと言うと勝負強さを見せつけた様な試合となった。

 立ち上がりに3点を奪われ、前半は相手に主導権を握られていた都立日野。それでも、中盤から木下君がすっかり立ち直り、攻撃陣も6回に2年生ながら4番を任されている廣岡君が右翼スタンドに放り込んでついに同点とした。ところが、東亜学園も「一発には一発で返礼」と言わんばかりに、9回、二死走者なしから3番鈴木浩太朗君が廣岡君と同じようなところへ本塁打。同点で迎えた9回の1点。これで、東亜学園が逃げ切っていくのかなと思われたが、都立日野は諦めなかった。

 この回、都立日野は一死から代打丹君が中前打する。二死となってから、2番小山君が左前打で繋ぐと頼れる3番樋口君。ここまで無安打だったが、上手に中前へ運んで、二塁走者の代走我妻君を帰して土壇場での同点劇となった。続く廣岡君は大きな中飛に倒れたものの、タイブレークにもつれていくことになった。

 タイブレークの10回、東亜学園はバントを決めて一死二三塁。ここで、高橋君の一打は難しい遊撃ゴロだったが、それを捕球した樋口君はすぐに身体を切り返してジャンプして本塁送球。長町君がしっかりとタッチアウトで二死。抜けていたら、あるいは本塁セーフになっていたら大量点に繋がりそうな場面だった。それだけに、樋口君のビッグプレーだったと言っていいだろう。続く、長久保君も木下君が抑えた。

 そして裏の都立日野の攻撃。5番長町君は送らず打って行って、右前へポテン安打で満塁。「本塁併殺でなければ、三振OK」で送り出された代打清水君は倒れたものの、続く島君が中前へはじき返してサヨナラとなった。島君は途中からの出場で初打席だったが、元々は4番も打ったことのある選手だ。大事な場面で十分に存在感を示した。こうした層の厚さ、諦めない気迫が都立日野の強さと言ってもいいであろう。

 嶋田監督は、「思った以上に寒かったので、木下の立ち上がりはどうかな…と思っていたのですが、肩が温まらないうちにほとんど芯を食らう形で捉えられました。3回くらいまでは、球も行っていなかったのだけれども、中盤からはよくなった。相手のミスでという形だったけれども、早い回に追いかけられたのもよかった」と、試合を振り返っていた。

 木下君は、嶋田監督の言うように3回までに6安打で4失点と調子が出てこなかった。それでも、4回以降は落ち着いてきて、9回の鈴木君に打たれた本塁打以外は危なげなかった。
 東亜学園は初回に先頭の藤沢君の初球安打から始まって、早いカウントから打って行き、鈴木浩太朗君の中越三塁打や松本君の右前適時打、竹松君の右犠飛で3点。3回にも四球と松本君、小澤君の連打などで満塁として、内野ゴロの間に追加点するなどいい攻撃を示していた。

 しかし、2回には四球とバント失策、暴投で無死二三塁となり、2つの内野ゴロで2点と無安打で2失点。5回にも一死二塁から暴投と悪送球でみすみす生還を許してしまうなど、守りのミスで追いつかれないまでも得点を許してしまっていたのが、最後には効いてしまったという形になった。 10回の都立日野の樋口君のビッグプレーも含めて、改めて、しっかりと守ることが如何に大切なのかと思わせた試合でもあった。

(記事:手束 仁