緊迫の投手戦!日大三・宇山 被安打2、奪三振12の好投で都立小山台を破る



日大三・宇山翼投手

 2回戦で帝京を10対0の6回コールドで下し、一躍注目をされるようになった都立小山台。3回戦の相手は、またも強豪の日大三だが、都立小山台の福嶋正信監督は、「毎回決勝戦のようなもので、楽しんでやれました」と語る。日大三の小倉全由監督は、帝京に勝った相手ということは意識せず、「自分のことをやろうと」と声をかけた。

 序盤、日大三がチャンスを作る。1回裏は1安打2死球で二死満塁となったが、日大三の6番・川島 柾之のレフト前の打球を、都立小山台の遊撃手・西田 宗弥が背走して好捕した。

 2回裏も2安打1四球で、二死満塁となったが、都立小山台の先発、横手投げの木暮 瞬哉が変化球をコーナーに投げ分けて、4番・井坪 朝陽を三振に仕留めた。「最初は向こうのスイングの速さに、飲み込まれそうになりました」と語る木暮は、序盤を踏ん張ったことで立ち直った。

 日大三の先発、左腕の宇山 翼は、スライダーやチェンジアップなどが制球よく決まる。都立小山台の福嶋監督も、「あのスライダーは打てない」と語る。3回表都立小山台はこの回先頭の澤田 知樹が初安打となる左前安打で出塁し、宇山の牽制が暴投になり、澤田は二塁に進んだが、宇山は後続を三振2個と遊飛に仕留めた。

 1、2回のピンチを切り抜けた木暮も、安定した投球をみせる。普段の練習時間は短いものの、1球1球考えて投球練習をしてきた結果、制球は素晴しく、その制球の良さを、捕手の森村 輝が引き出している。

 日大三・宇山、都立小山台・木暮の投手戦の均衡が破れたのは5回裏だった。守備のいい都立小山台の遊撃手・西田が続けて失策をして二死一、二塁となり、6番・川島の右前安打で日大三が貴重な1点を挙げた。それでも続くピンチは、都立小山台の二塁手・濱口 隼の好守備で切り抜けるなど、まだ勝負の行方は分からない。

 しかしそれ以上に日大三の宇山が良かった。7回表は三者三振に抑えるなど、投球に危なげがない。両チーム守りも安定しており、試合は速いテンポで進み、9回表都立小山台の攻撃を迎える。

 一死後、宇山は都立小山台の1番・濱口を四球で歩かせる。スタンドに詰めかけた観客から、都立小山台に拍手が送られる。観客を入れた試合ならでは緊張感が高まってくる。

 2番・西田を三振に仕留めたものの、3番・早野 正道には死球。スタンドの拍手で、日大三アウェーの雰囲気になっていたが、宇山は、「9回は完全にアウェーでしたが、逆に楽しむくらいの気持ちでした」と語る。

 打席には都立小山台が最も期待する4番の森村が入る。カウント2ボール2ストライク。宇山のスピードを抑えた絶妙のチェンジアップが、ストンと落ちると、森村のバットは空を切り、試合終了。宇山は12個の三振を奪い、打たれた安打はわずか2という完璧な内容で、完封勝利を収めた。

 都立小山台は敗れたものの、力のあるチームであることは十分に示した。10月26日に行われたドラフト会議では、OBで三菱パワーの伊藤 優輔が巨人に4位指名された。伊藤は卒業後も時間さえあれば母校に来て、指導をしていただけに、先輩の指名は、現役の選手にも大きな刺激になった。この試合好投した木暮は、「冬にしっかり力をつけて、夏は甲子園に行きます」と力強く語った。

 勝った日大三は準々決勝で、3回戦で9回に逆転勝ちをした日大豊山との日大対決になる。都立小山台の木暮の好投に得点は1点止まりだったが、宇山の好投は、今後への好材料になる。

(記事=大島 裕史)