帝京の新エース・安川が公式戦初登板で完投勝利!鉄壁の守備で強敵・聖パウロ学園を下す



先発・眞野文太(聖パウロ学園)

 この夏の東東京王者の帝京が公式戦初戦を迎えた。相手は聖パウロ学園。両チームがグラウンドでアップを行うと途端にグラウンドの空気が変わった。体のキレ、キャッチボールの勢いを見ても強豪という雰囲気がある。そしてシートノックの動きもキビキビとしており、特に帝京の守備力は新チームの段階では突き抜けている。8月の取材の時から厳しいプレッシャーをかけながらやっている様子が見えたので、それが盤石の守備を築いたといえる。

 試合は前評判通り、接戦となった。帝京聖パウロ学園の好投手・眞野 文太に対し、機動力で攻略しようとする。まず1番尾瀬 雄大が左前安打。尾瀬は盗塁を仕掛け、暴投を誘い、一気に三塁へ。2番杉本 直将毅は死球。3番高橋大陸の場面でダブルスチールを試み、暴投を誘う間に三塁走者が生還。さらに3番高橋の適時打で2点目。今、振り返れば、眞野を叩くチャンスはこの回だけだった。帝京は3点目を挙げられず、苦しい試合展開となる。

  眞野は2回以降、立ち直りを見せた。コンパクトなテークバックから力強い速球、スライダー、カーブを投げ込み、打たせてとる投球で帝京打線をヒットを浴びながらも粘り強いマウンド捌きで3点目を与えなかった。ちなみに眞野は三兄弟の三男で、3学年上の優太(帝京平成大)が帝京で、次男が1学年上で主将を務めた寛太。次男も前年のブロック予選で対戦しており、眞野家は帝京と関りが強いのが分かる。

 そして帝京の先発・安川 幹大も公式戦初登板。180センチ76キロと恵まれた体格、さらに肩、ひじが柔軟で、滑らかなテークバックから投げ込む直球は角度があり、切れのあるスライダー、チェンジアップ、ツーシームを投げ分け、スイングが鋭い聖パウロ学園打線を打たせてとる投球を見せた。

 小松川第一中出身で、都大会3位経験のある実力派は帝京にあこがれ入学。江戸川区出身の安川は自宅から通っている。帝京伝統の三号飯など体づくりに取り組み、入学から体重が10キロ、球速も10キロレベルアップし、現在の最速は141キロ。そして背番号1を獲得したのはこの夏の成長が大きかったと前田監督は語る。
「夏も入っていたんですけど、調子が悪くて投げさせなかったんです。それが悔しかったのか。試合が終わってグラウンドに帰っていくと、ずっと投球練習をしていたんです。夏場でも意欲的にやっていましたよね」

 190センチの長身右腕・植草 翔太のエース争いを制したのは総合力の高さだ。

「変化球の精度が非常に高いこと。そしてこの夏休みの練習も意欲的に取り組んでいたので、ベンチに入れることを決めました」

  8月に取材したときの練習を振り返れば、フィールディング練習など1つ1つの練習をそつなくこなしていたことを思い出す。

  そういったところが精神的な強さにつながっているのだろう。さらに投球のテンポも速く、すいすいと試合を作っていく。

 安川の一番の武器というのは全体的な動作に無駄がなく、しなやかさがあることだ。