芝vs都立淵江
雨に2度の中断を利用した芝が逆転で都立淵江を破る!
勝った瞬間、マウンドで喜びを見せる芝・尾藤成
天候が目まぐるしく変わる26日。いくつかの球場で中止なども出ている中、[stadium]駒沢球場[/stadium]では芝と都立淵江の一戦が幕を開けた。
芝の先発はエースナンバーを背負った原野塁。セットポジションから足を真っすぐに上げて、しっかりとテイクバックを取りながら軸足にタメを作って、右腕を振り下ろす。バランスの取れた切れなフォームから130キロ台も計測する力強いストレート。さらに120キロ前後で鋭く落ちる縦の変化球を駆使する本格派右腕。
その原野が初回を無失点で立ち上がると、打線は直後の攻撃で6番・栗原宏輔のタイムリーで芝が幸先よく先制。良い流れで進むかと思われたが、3回に9番・番場健太と1番・須田尊の連打からピンチを作ると、3番・品田憲一郎にライト線への流し打ちで2失点。都立淵江に勝ち越しを許してしまう。
いち早く追いつきたい芝だが、都立淵江の福井琢巳が立ちふさがる。
右腕でしっかりと壁を作りながら、着地すると身体を横に回転させるフォームからストレートは120キロ台。そして80~90キロくらいを計測する緩い変化球を混ぜることで緩急を付けつつ、打たせて取るピッチングを展開。
この投球術の前にホームが遠い芝だったが、2度の雨の中断を挟んで迎えた7回に芝が先に動く。先発の原野に代えて2番手に石井泰暉がマウンドへ。この石井が3人で抑えると流れが芝に傾き出す。
直後の攻撃で一死から3番・関口直弥のヒットで同点のチャンスを演出。ここで5番・大野凛太郎が都立淵江・福井の緩い変化球に態勢を崩しながら捉えた打球がレフト線に落ちて同点。これで一気に芝に勢いがついた。
続く8回に途中出場の尾藤成の二塁打から相手のミスと2番・松田昂洋のタイムリーで4対2。終盤に勝ち越しに成功した芝が、都立淵江を下して2回戦へコマを進めた。
試合後、芝の増田宣男監督は、「こんなに中断するとは思いませんでしたが、選手たちが中断中も集中力を保って準備をしてくれたので、あまり言うことはなかったです」と雨による中断中の様子を語った。
4番手としてマウンドに上がり、勝ち越しの足掛かりも作った尾藤も、「チームメイトの皆がブルペンで素振りをしたりして準備をしていました」とベンチ裏の様子を話す。
また試合の流れを変えるきっかけとなった継投策は、「先発の原野は5、6回くらいまでで前日から決めていました」とのこと。尾藤も「予告もされていたので、慌てることなく準備ができました」と万全の準備が試合を決定づけることに繋がっていた。
一方、敗れた都立淵江は試合の後半にかけてスクイズの失敗や牽制アウトなど、なかなかリズムに乗り切れなかったことが痛かった。
記事=田中 裕毅