連投の好左腕・都立武蔵野北の一井、4回突如乱れてコールドで敗退



武蔵野北・一井日向汰

 秋は1次予選で敗れたものの、2試合の奪三振は24。都立武蔵野北の左腕・一井日向汰は、都立のドクターKと言っていい逸材だ。しかしこの大会は雨天中止が続き、日程変更により、1回戦、2回戦が2日連続で組まれた。1回戦の明星学園戦で一井は144球を投げた。
 冷水と熱い湯に交互に入ったり、ストレッチをしたり、親にマッサージをしてもらったりして、翌日の試合に備えた。一井本人は、「昨日の影響はありませんでした」と言っているが、疲労は感じ取れた。

 一方投手陣が豊富な日大桜丘も、1回戦に続き2日連続の試合となったが、前日は登板していない左腕の丹野日和を登板させた。
 立ち上がりに問題がある都立武蔵野北の一井であるが、1回表はチェンジアップなど緩いボールをうまく使い、二ゴロ2つと、相手を泳がせるような形で三者凡退に仕留めた。2回表は走者を出したものの奪三振2。3回表にも三振1個を奪い、本調子ではないものの、一井らしい三振を取る投球ができるようになってきた。
連投の一井を楽にするためにも、都立武蔵野北は早く先取点がほしいところだ。1回裏は2番の和田康希が四球で出塁すると、日大桜丘のバッテリーミスの隙に二塁を狙ったが、捕手の小林孝太郎が素早く送球して和田を刺した。
日大桜丘の佐伯雄一監督は、「あのプレーが大きかったと思います」と語っている。

 

 都立武蔵野北は2回裏にも6番・須賀文太の左前安打やワイルドピッチなどで一死二、三塁のチャンスをつかんだが、8番・原佑は二ゴロ。三塁走者の須賀は本塁を突いたが、日大桜丘の二塁手・白鳥優太が落ち着いて本塁に送球し、須賀はアウト。なかなか1点を奪えない。

 都立武蔵野北の一井に抑えられていた日大桜丘の佐伯監督は、バッターボックスの前に立って、変化球を投げにくくさせる指示をした。
すると4回表、一井が突然乱れだす。
2四球、1安打で無死満塁のチャンスをつかみ、打席には7番で主将の小林。「強く振ることを意識しました」と言う小林は中前安打を放ち2人が還り、日大桜丘が2点を先制した。

 さらに8番・森俊翔が四球で歩き再度満塁となり、9番の丹野が中前安打でさらに2点を追加。1番・大森竣平に四球を出すと、ついに一井を一塁にまわし、遊撃手の中島海斗が登板した。
 中島も制球が乱れ3四球に1安打、さらには6番・佐藤有真に三塁打を打たれて、この回11点目が入った。すると一井が、再度マウンドに上がった。「伝令を出して聞いたら、投げたいと言うので、投げさせました」と都立武蔵野北の原壮一監督は言う。

 一井は5回表にも5点を失った。それでも、5回コールドが決定的な状況で、最後の打者は三振で仕留めた。明らかに三振を狙った投球であったが、「しっかり終わりたいと思いました」と一井は語る。

 結局16-0の5回コールドで日大桜丘が勝ち、一井の夏は終わった。自粛期間が長く、練習ができなかった状況での連投はやはり、厳しかった。
 一井はプロ入りを希望した時期があり、原監督も「(志望届の)紙は渡しています」という状況であったが、本人に改めて聞くと、「勉強をしたくなりました」と、国公立大学を目指して勉強することを表明した。大学でも野球を続けるつもりで、そこでプロを目指すことになる。「都立で泥臭く努力することがありませんでした」と語る一井。新たなステージで成長することを期待したい。

 一方3回戦進出を決めた日大桜丘は、秋は1次予選の初戦で都立小岩にコールド負けした。そこで「基本を大事にするようにしました」と、佐伯監督は言う。3回戦は、2回戦をタイブレークの末勝利した錦城と対戦する。複数の好投がいる錦城と、好投手・一井を攻略した日大桜丘の対戦。好ゲームを期待したい。

(記事=大島 裕史)

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