強豪・昭和一学園に8回5点差から延長戦へ!10名で挑んだ都立羽村を率いた主将・神戸の最後の夏



都立羽村を率いた神戸 那央主将(3年)

 延長タイブレークの10回裏、9点ビハインドで迎えた都立羽村の先頭は、主将・神戸 那央。「全球思いっきり振ると決めていました」。その言葉通り初球から、球場にいる誰もが見てわかるフルスイングで、バットに気持ちを乗せた。

 しかし、最後は変化球に対応できず、併殺打で凡退。一気に二死三塁となる。無念のアウトに、一塁から三塁ベンチに引き返しながら涙がこみ上げた。「まだ終わっていなかったのですが」。これまでチームを率いてきた責任感と、不甲斐なさにこらえきれなかった。

 秋を終えてからは、数名の選手が野球部を去り、8名で新学年をスタートさせなければならなかった都立羽村。なんとか単独チームでの公式戦出場を叶えるべく、辞めた選手の引き留めに奔走した。その結果2、3年生合わせて10名でこの大会に挑むことができた。

 この試合は常に昭和一学園が試合の主導権を握っていた。初回は3連打を含む5安打で5点を先制。4回途中に降雨中断を挟み、8回表を終了した時点で8対3と大きくリードした。

 しかし、また雨が強くなってきた8回裏、都立羽村は暴投や1番・豊田 涼雅の適時打などでこの回一挙5得点。終盤で同点に追いついた。そして、2番・浜名 稜玖が打席を迎えた時に2度目の中断。勝ち越しの好機を目前にしての中断も、ベンチの熱は冷めなかった。「いつもあんな感じです、私が率先して声出してますけど」と西田広記監督は笑顔で話した。

 22分間の中断を経て、試合は再開。9回は互いに無得点で終わり、延長タイブレークに突入した。

 だが、10回表、8回途中からマウンドに登る、前日181球を投げたエース・木下 倭斗が昭和一学園に捕まった。先頭の4番・田中 壮汰からの三連打を皮切りに、9失点を喫した。裏の攻撃は1点を返すも、相手エース・風戸 侑斗を前にこれ以上の得点ができなかった。

「出来過ぎなぐらいです」。試合後、西田監督はここまで戦い抜いた選手たちを称えた。5点差を追いついた8回の攻撃について主将の神戸は、「やっぱりみんなすげぇんだなと思いました」と他9名のチームメイトへの底知れぬ可能性を実感できた試合だった。

(文=編集部)

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