錦城学園、走って、走って、夏の西東京の覇者・国学院久我山を破る



追加点を挙げる錦城学園

 夏の西東京大会を制し、甲子園大会に出場した國學院久我山であるが、前日は明星とのタイブレークに及ぶ激戦を戦ったばかり。勝利で勢いに乗っているものの、投手の疲労が懸念される。

 一方荒川の河川敷で練習をしている錦城学園は、先の台風19号の影響で練習場が洪水被害に遭い、外部の施設を借りて練習をしている。
 ただこの試合については、國學院久我山の連戦による疲労が大きかった。前日にエースの村上輝幸が100球近く投げたため、この試合の先発マウンドには、背番号11の1年生・石川夏夕が立った。

 1回表錦城学園は2番・村木華南が右前安打で出塁すると、すかさず二盗。得点には結びつかなかったが、この試合の錦城学園を象徴する立ち上がりになった。
 2回表は、二死一、二塁で錦城学園の先発投手でもある9番の石川隆二が遊ゴロ。これが内野安打になったが、二塁走者の榎木駿友は、遊撃手が一塁に送球する間に一気に本塁を突いて、1点を先制した。錦城学園が足攻めの威力を発揮したが、「打てるチームではなかったので、走塁の練習を多くしました。2回の走塁は、コーチャーがよく判断しました」と、錦城学園の玉木信雄監督は語る。

 錦城学園の足攻めは3回表も続き、一死後、3番・杉浦海が内野安打で出塁すると、すかさず二盗。4番・石田和久が敵失で出塁し、一、二塁となると、今度は重盗をしかけ、二、三塁とした。そして6番・加藤孔晟の左前安打で2人が生還した。
 この回、立て続けに2つの盗塁を決めて得点チャンスを作った杉浦は、身長が163センチと小柄で、50メートルが6.9秒と際立って速いわけではない。それでも「打つチームではないので、足を絡める練習をしてきました」と杉浦。玉木監督の考えが、チームに浸透している。



錦城学園の先発・石川隆二

 錦城学園の先発・石川は、それほど威力は感じないものの、球持ちがよく、打者に近いところでリリースしているので、見た目以上に球は伸びている感じだ。
 しかし3回裏に、國學院久我山打線につかまる。一死後、國學院久我山の9番・田村優汰郎がレフトオーバーの二塁打を放つと、敵失に2番・内山 凜のスクイズが決まり1点。続く3番・鶴飼晃太の中前安打を中堅手が後逸する間にさらに1点を追加し、1点差に迫った。

 國學院久我山は3回途中からエースの村上が登板し、4回表を0点に抑えるなど、試合の流れが向きかけた。ところが5回表、この回の先頭打者で、走塁で力を発揮していた錦城学園の3番・杉浦が、今度はレフト柵越えの本塁打を放ち、錦城学園が再びリードを広げた。「塁に出て、チャンスを作るつもりでした。ホームランは練習試合を通じて初めてです」と杉浦は語る。

 錦城学園は7回表も2安打1四球に足を絡ませ2点を追加し、試合を決めた。
 國學院久我山は5回に安打3本を打ちながら得点できないなど、錦城学園・石川の粘りの投球と、好守備に反撃を阻まれ、6対2で錦城学園が勝利した。
 足を使った攻撃という、自らの持ち味を遺憾なく発揮した錦城学園は勢いに乗る勝ち方だ。錦城学園のブロックは、どこが勝ち上がってもおかしくないだけに、今後の戦いぶりが注目される。

 夏の西東京大会を制した國學院久我山は、3年生が抜けてメンバーが大幅に入れ替わったため、まだ実戦経験が不足している感じだ。雨天続きのため日程が変則になり、2日続けての試合という不運もあった。それでも、この夏甲子園に出たというのは大きな財産であり、今後の練習で、また力をつけてくるはずだ。

(文=大島 裕史)

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