都立八王子北・横手投げの遠藤、駒大高・吉野に投げ勝ち、8安打完封

 かつては「フライを打ち上げるな」が鉄則であったが、メジャーリーグから始まった「フライボール革命」の波は、日本の高校球界にも来ている。「フライボール革命」という言葉が広まる前から、駒大高の川端教郎監督は、振り上げるフルスイングにこだわってきた。対する都立八王子北の先発・遠藤優太は横手投げで、遅い球を有効に使う。ともに夏は2年連続でベスト16という強豪同士が1回戦からぶつかったカードは、駒大高のエース・吉野惠達の好投もあって、息詰まる投手戦になった。

 駒大高といえば、打撃のチームのイメージがあるが、例年かなりのレベルの投手を育てている。吉野に関しては、「秋は故障で投げることができませんでしたが、夏は彼でと思っていました」と語る川端監督が、満を持して起用した投手だ。ストレートに威力があり、多彩な変化球で緩急をつけることもできる。

 対する都立八王子北の遠藤は、春までは本格派の投手だった。「実はイップスになって、制球が定まらなくなりました。小学生の頃はサイドスローだったのですが、思い切って、小学生の時にやっていたサイドスローにしてみました」と遠藤は語る。急増の横手投げではあるが、投げ方を変えたことで、低めの制球が良くなったという。

 小雨が降り続く中、試合は予定より約30分遅れて始まった。

 両投手、快調な立ち上がりであったが、中でも圧巻だったのが、駒大高の吉野だ。1回表に三者連続三振を記録したのをはじめ、3回までに奪三振6の無失点。4回表にこの回先頭の都立八王子北の2番・石野多加之に右中間を破る二塁打を打たれたが、後続の3人をきっちり抑えた。

 最初に決定的なチャンスをつかんだのは駒大高だった。6回裏に3番・勝又航太、5番・渡辺 大樹、6番・山﨑恒太が左前安打を放ち、一死満塁とする。7番・伊藤礼士は3ボール・1ストライクになり、都立八王子北の遠藤は追い詰められる。都立八王子北の内田健太郎監督は、「もう神頼みでしたよ」と語る。マウンド上の遠藤は、「覚悟を決めて投げました」と語る。こうした思い切りの良い投球で伊藤を三ゴロに打ち取り、三塁手の落合駿斗が勝又を本塁で刺した。続く8番・吉野も遊ゴロに倒れ、都立八王子北はピンチを切り抜けた。

 ピンチの後にはチャンスありの言葉通り、7回表に都立八王子北が試合の均衡を破る。二死後、6番・落合が左前安打を放つと、続く7番・和智大樹がレフトオーバーの二塁打を放ち、落合が還り待望の先取点を挙げる。丁寧な投球を続けていた吉野の一瞬の隙を都立八王子北は逃さなかった。

 1点のリードを得た都立八王子北の遠藤は、最後まで遅い球を有効に使い駒大高の強力打線にホームを踏ませず、1対0で完封勝利を挙げた。

 それにしても、振ってくる相手に遅い球が効果的なことは、理屈では分かっていても、実際に投げるのは勇気がいる。この点について遠藤は、「最初は怖かったですが、打たれたら相手が上、と思うようにしています」と語る。その思い切りの良さが、完封勝利につながった。

 夏に強い都立八王子北であるが、2日連続の試合になる2回戦で都府中東と対戦し、勝てばシード校の國學院久我山との対戦になる。

 一方敗れた駒大高であるが、緩急をつける相手にもフルスイングを貫いた。それでも駒大高の川端監督は、「もっと振ってほしかった」と語る。日本的なスモールベースボールと一線を画するやり方に議論はあるだろう。それでも、「自分たちのスタイルを崩したくない」と語る川端監督率いる駒大高がどう進化していくか、今後も注目したい。

 

(文:大島 裕史)

2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会西東京大会
■開催期間:2019年7月6~7月26日(予定)
■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会西東京大会】
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