東海大菅生、主将・石田のサヨナラ二塁打で秋のリベンジを果たし25年ぶりの優勝



優勝を決めて校歌を歌う東海大菅生

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 春季都大会の決勝戦は、秋の決勝戦と同じカードになった。秋は国士舘が初回に挙げた4点を守り切り、4対3で勝利した。それだけに若林弘泰監督は、絶対に負けたくないという気持ちが強かった。戦力的には秋も今回も東海大菅生が上回っているが、国士舘はそう簡単に勝てる相手ではなかった。

 準決勝は両チームともエースが登板しているだけに、翌日に行われた決勝戦の先発は、国士舘石橋 大心東海大菅生新倉 寛之と、ともに控えの左腕投手が先発した。

 初回は両チームとも走者を出しながら得点は入らなかったが、2回から動き出す。2回表国士舘は、右前安打の6番・渡辺 伸太郎が7番・澤野 智哉の犠打で二塁に進み、8番・石橋の中前安打で還り1点を先制する。このあたりの無駄のない攻撃は国士舘らしい。

 一方東海大菅生はその裏、左前安打の6番・今江 康介が二盗、さらに捕手の悪送球で三塁に進む。二死になった後、今江が飛び出しているのをみた国士舘の捕手・澤野の三塁送球は今江の背中に当たり、ボールが転がる間に、今江は一気にホームインした。

 3回表国士舘は。この回先頭の3番・冨田 洋佑がレフトポール近くに本塁打を放つ。さらに4番・黒澤 孟朗が二塁打で続いた。準決勝でも冨田の本塁打の後、4番・黒澤の安打が続いたことが、ビッグイニングのきっかけになっている。試合に流れを決めるかもしれない大事な場面で若林監督は、早くもエース・中村 晃太朗を投入した。「若林先生からいつでもいける準備をしておけと言われていたので、ピンチでしたが、任せておけ、という強い気持ちがありました」と中村晃は言う。

 中村晃は6番・渡辺に二塁打を打たれ1点を失うものの、後続は断ちここからは、比較的安定した投球をするようになる。

 3回裏東海大菅生は、1番・小山 翔暉、2番でこの試合抜擢された三塁手の玉置 真虎が続けて四球で出塁すると、国士舘も投手をエースの白須 仁久に交代する。

 早くもエース同士の対決になったが、白須は制球が安定しない。東海大菅生の4番・杉崎 成にも四球を与え満塁となった後、6番・今江の中前安打で2人が還りすぐに同点に追いつく。

 

 白須は5回裏に四球3個で満塁のピンチを招くなど、絶えず走者を背負っての投球となったが、ここ一番では低めのスライダーなどがしっかり決まり、得点は許さない。

 

 同点のまま試合は9回の攻防に入る。9回表国士舘は一死後8番・白須の右前安打、続く代打の中西 健登の四球で一、二塁となる。ここで東海大菅生の中村晃は、明らかにギアを入れた投球をする。「9回裏に絶対に点を入れてくれるという信頼があったので、この回しっかり自分で抑えようと思いました」と中村晃は言う。

 

 それでも国士舘の好打者、1番の黒川 麟太朗は強い打球をしっかりセンターに弾き返したが、センターライナーに終わる。しかも二塁走者の白須は完全にスタートを切っており併殺となった。

 

 その裏東海大菅生は、一死後当たっている6番・今江の中前安打、7番、途中出場の大里 大也の内野安打で一、二塁とし、普段は2番打者だが打撃不振で8番になっている主将の石田 隆成を迎える。石田には、忘れられない場面がある。昨秋の決勝戦の国士舘戦、1点差に迫った二死一、三塁のチャンスで打席が回ってきたが、中飛に倒れ、試合に敗れた。

 

 「最後は決めてやる」という強い思いで打席に入った石田は、前の打席で捕飛に打ち取られたスライダーを狙い、3球目、そのスライダーを叩くと、打球は左中間を破る二塁打となり今江が生還。東海大菅生が25年ぶり2回目の優勝を決めると同時に、秋と同じ4対3のスコアで、国士舘にリベンジを果たした。

 

 試合後、東海大菅生の若林監督は、石田のサヨナラ打について、「この大会に入って機能していませんでした。ここで打てなかったらレギュラーも外そうかなと思っていたので、何とか打ってほしいなと思っていました。一番いい形で勝てました」と語った。

 東海大菅生は、昨秋の敗戦が響き、有力視されていたセンバツ出場を逃した。それだけに春にかける思いは強く、二松学舎大附日大三関東一、そして国士舘と、強豪を相次いで倒しての堂々の優勝であった。

 敗れた国士舘であるが、劣勢を言われながらも好勝負に持ち込んだ底力はさすがであった。ただ投手に制球力が乏しく、最後は力尽きるかたちになったのは惜しまれる。両校とも、関東大会での活躍に期待したい。

 

(文=大島 裕史)
(写真=編集部)