イップスの苦しみを乗り越えて...駒大高が劇的な3ランで決着をつける

先発・星雄翔(駒大高)

 雨が降るなか、グラウンドがぬかるんでいる中、行われた一戦。
 駒大高の先発・星 雄翔(たける)の投球は素晴らしいものがあった。上背はないが、下半身主導のフォームから手元まで失速しないストレート。堂々と投げ込む姿はまるで武田久(日本ハム)を見ているかのような雰囲気がある。だが、本人がイメージしているのは攝津正(福岡ソフトバンク)のようで、なかなかチョイスが渋い。
「僕はもともと、捕手なので、攝津投手のテークバックは参考になるなと思いました」
 球速は130キロ前半ぐらいだが、それ以上に速さを感じる。ボールの質が非常に良い星だが、その秘密は上半身の使い方にある。テイクバックの動きを見ると肩甲骨の使い方がよく、着地した時に、自然に肘が上がっている。さらに両肩のラインが打者に向かっていて、反動が付いた投げ方ではないので、肩肘の負担は少なく、リリースの瞬間を見ると打者寄りで離すことができており、球持ちが実に良い。

 星に技術的に意識していることを伺うと、「指先にどれだけかかるかは普段の投球練習から意識しています。この日は雨が強く、思ったより指にはかからなかったのですが、それでもテーマにしている、ここぞという場面で力で押して、要所で力を抜いて投げることを意識して投球ができました」
足場が安定しないない、粘り強く投げることができており、チームに勢いを乗せる投球ができていた。粘り強さ、メンタルの強さがあり、三者連続三振2回、6回9奪三振無失点と見事な投球だった。いずれは140キロ台を超える速球派に変貌してもおかしくない投手であった。