上村 健人選手 (東北)

上村 健人

球歴:東北

都道府県:宮城

ポジション:投手

投打:右 / 左

身長:184.0 cm

体重:89.0 kg

学年:卒業

寸評

 少し太めの体格が気になるが、どっしりした下半身を活かしたバランスのよい投球が目を惹く。エースで4番を務める、2011年度東北高校の投打の柱、それがこの 上村 健人 だ。彼の最大の良さは、地に足の着いた大人の投球ができること。しかしその将来性では、パワフルな打撃の方が注目されている。東北高校の先輩でもあり、プロ野球でも首位打者を経験した 嶋 重宣(広島) の高校時代と比較しても、ヒケをとらない打力の持ち主。ただ今回は、あえて投手 上村 健人 として考察してみたい。 (投球内容)  安定した下半身を活かしつつ、球速こそ130~135キロ程度(MAX137キロ)だが、粘っこい投球を披露する。特にゆったりとした投球モーションで投げ込む、典型的な先発タイプ。ただ重心の乗りに問題があり、ボールにしっかり体重を乗せられるようになると、もっと手元まで自己主張するような存在感溢れる球が投げ込めるようになるだろう。変化球は、カーブ・スライダー・フォークと一通りの球を持ち合わせ、両コーナーに投げ別ける制球がある。更に洗練されたマウンド捌きに加え、勝負どころとそうではないところを、しっかり力加減を変えられるメリハリの効いた投球ができる。新チーム結成間近の高校生にして、ここまで地に足を着いた投球をできる選手は、なかなかいない。新チーム間もない対戦校が、その攻略に苦労したのは至極当然だと言えよう。  投球の課題としては、重心の沈みが浅く、球全体が真ん中~高めに浮きやすい傾向にあること。またスライダーが、甘く入る精度の低さにありそうだ。  牽制も鋭く、セカンドランナーをアウトにできるほどの技術。クィックも1.1秒~1.2秒強ぐらいでまとめられ、素早くランナーを背負ってからの投げ込むことができる。普段のフィールディングの動きも悪くないのだが、ベースカバーに入るのがワンテンポ遅れるところが、個人的には気になる材料。天性のピッチングセンスに加え、こういった投球以外の部分を、この冬の間に高めてこられるのか注目したい。 (投球フォーム)  お尻を一塁側に落とせるフォームなので、将来的に見分けの難しいカーブや縦に鋭く落ちるフォークなどの修得が期待できる。前にも足を逃がすことで、着地のタイミングは悪くないものの、ややステップが狭いのか重心の沈みが浅いのが残念。それでも多彩な変化球を操り、ピッチングの幅をどんどん広げて行ける可能性を感じさせる。  グラブを内に抱えられ、後ろに抜けそうなところを、なんとか最後まで押し留めている。ただ足の甲での押しつけが浮いてしまい、ボールが高めに浮きやすい。それでも腕の角度をしっかりつけている割に、無理のない腕の振りができているので、身体への負担は少ない。そのためスタミナ消耗も少なく、タフな投球が期待できる。  投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」までの間は悪くないものの、ステップが狭く「体重移動」に課題を残す。また「開き」が少し早く、ボールがやや見やすい。ただし「球持ち」はしっかりしており、粘っこい球質を実現している。
更新日時:2011.02.12

将来の可能性

 現状投手としては、それほど際だつ球はない。しかし身体にも強さを感じさせるので一冬越えた更なる成長も期待でき、投手としてのセンスには光るものがある。ただ現時点で目立つのは、完全に打者としての才能。ただ走力や守備的なアピールに欠け、打球こそ強烈なものの、けして長距離打者ではない。そういった考慮すると、実はニーズが高いのは、投手としての才能の方なのかもしれない。  投手として一つ残念なのは、時々フト集中力が途切れる場面が観られること。先発投手としては、そう長く集中力を持続させることは難しいし、逆にそのメリハリこそが、この選手の特徴でもある。ただ本当の意味での、抜きどころと勝負どころの区別ができておらず、抜いてはいけない場面でミスを犯すことも少なくない。その辺の部分が、一冬越えてどのように成長しているのか選抜では注目してみたい。パッと見、打者としての才能が目を惹くのだが、実は大成するとすれば、投手としてなのかもしれない。
更新日時:2011.02.12

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