水原 浩登選手 (関西)

水原 浩登

球歴:関西

都道府県:岡山

ポジション:投手, 遊擊手

投打:右 / 右

身長:180.0 cm

体重:80.0 kg

学年:卒業

寸評

 関西水原 浩登は2011年度の高校生右腕では最も器用な投手である。右上手からキレのある140キロ中盤のストレートに、多彩な変化球を武器として扱うことが出来る器用さが何よりも長所だ。そして相手の打者を見ながら配球を組み立てる投球センスは選抜準優勝の九州国際大付戦で最大限に発揮され、2失点完投勝利を収める金星を挙げた。 彼の実戦力の高さ・将来性を評価し、指名を受ける投手と見ていたが、プロ側から見て実力不足と判断されて指名漏れしたということであろう。卒業後は東都二部に所属する立正大学に。今、東都二部リーグで優勝に近い存在であり、水原は入れ替え戦進出へ向けてキーマンとなる存在であろう。 (投球スタイル) ストレート 144キロ 常時135キロ~140キロ スライダー 120キロ前後 シンカー 120キロ前後 チェンジアップ 120キロ前後 カーブ  90キロ前後  春に比べるとストレートのスピードは目に見えて伸びていないが、ミットに向かって一直線に伸びていくキレのあるストレートが両サイドに決まっている。いつでもストライクが取れる制球力が安定した投球につながっている。ただ目に見えて分かるようなレベルアップが出来ていたらもう少し高い評価を受けていたかもしれない。  変化球は多彩。九州国際大戦では縦の変化が弱いとみて、元々持っていたスライダーを縦変化にさせて、臨んだのだから彼の器用さがうかがえる。選抜ではテンポ・間を意識した投球が出来る投球を評価したが、九州国際大戦はさらに打者の弱点を踏み込んだ投球が出来ており、ピンチにも粘り強くなった。この試合で光っていたのは左打者に逃げていくツーシーム、右打者にはチェンジアップ。縦の変化はここぞという時に使って仕留めることが出来ている。個人的にはスライダーの制球力が甘いのが気になった。  好調時には140キロ中盤の速球を投じ、変化球の引き出しも多い。注文を付けくわえるとすれば、ウイニングショットとなる変化球はない。マックスで140キロ中盤と右投手としては平凡。プロでは常にマックスに近い投球が出来ればいいが、彼のポテンシャルからすれば、アベレージで130キロ後半。以上を踏まえると、彼は即プロより大学経由という判断は間違っていない。 (クイック・フィールディング)  クイックタイムは1.1秒台~1.2秒と素早いクイックが出来ている。フィールディングの動きも良く、ショートの動きもキレの良い動きを見せていた。牽制もしっかり入れており、投球以外の技術もしっかりと鍛えこまれている。 (投球フォーム)  ノーワインドアップから入り左足を回しこむように上げていく。足を上げるまでに若干タメを作るようになった。ショート方向へ足を送り込んでいき、重心を下げていき、着地する。ステップ幅は広くもなく、狭くもない適正な位置ともいえる。左腕のグラブを斜めに伸ばしていく。肩の開き自体は早い。テークバックの動きを見ると後ろが大きく取ってトップに入る。やや担ぐ動作を取るため、肩、肘へ負担が大きいので、ケア・登板間隔をしっかりと考えていかないと故障により大きくパフォーマンスを落としやすい傾向にあるので気を付けたい。  リリースを見るとスリークォーター気味。無理に角度をつけて投げることなく自然に腕が振れている。球持ち自体も良くなった。フィニッシュを見ると膝の割れはある程度抑えられるようになったが、まだ体勢を崩すことが多い。捻りを入れて重心を下げるフォームなので、膝を割れてしまうのは必然的になってしまうが、いかにしてバランスを崩さないかが大事であろう。フォーム自体は変わっていないが、タメを作ってフォームで強弱をつけようとする意識が見られる。
更新日時:2012.01.17

将来の可能性

 2011年度の右投手では実戦力という点ではトップランク。高卒の右投手としては標準的なスピードで、指名された高卒右腕と比べると馬力で劣るところがあり、それがマイナスポイントとなったということは間違いない。多少は荒削りでも馬力の大きさを感じさせる投手でもないし、今は体が出来ていないが、体が出来ればもの凄いストレートを投げるしなやかな右腕でもない。推測すると甲子園で投げている140キロ台のストレートに目を奪われて、いざプロ入りしたら130キロ台の右投手だったという可能性が否定できない。水原は良い投手だが、圧倒的な力量を持った投手ではなかった。  立正大学では一部昇格へ向けて機運が高まっているチーム。劣悪な環境である神宮第二から抜けだそうと這い上がろうとしている立正大と低評価で指名漏れし、悔しさをバネに4年後には上位指名を得てプロ入りを目指して這い上がる水原と重なり合うではないか。一球、一球が勝敗及び残留・昇格を分ける東都リーグでは彼の投球センスの良さは存分に活かされるのではないだろうか。ぜひ4年間でドラフト上位候補として注目される投手になっていくことを期待したい。
更新日時:2012.01.17

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