秦 匠太朗選手 (二松学舎大附)

寸評

　その恵まれた体格で、当たった時の飛距離には定評がある強打者。2014年度の、東京を代表するスラッガーだと言えるでしょう。 　 （第一印象） 　大型故に、動きの緩慢さが目立ちます。守備・走塁・打撃にのすべてにおいて、もう少しキレを追求して欲しいところ。 　 （守備・走塁面） 　 　残念ながら、正確な一塁走破タイムは計測できず。しかしそのプレーを見るかぎり、走力はかなり遅いみて良いでしょう。足でアピールする、そういったこととは無縁の選手ではないのでしょうか。 　そのため、右翼手としての守備範囲が狭いのも気になります。キャッチング自体も、お世辞にも上手い部類ではありません。肩ももう少し強いかと思ったのですが、平均からそれ以下。一塁限定の選手を、無理やり外野を守らせているような感じです。もう少し守備・走塁へも意識を傾けて欲しいところ。 　 （打撃内容） 　 　少しポイントが後ろのせいか、右方向の打球が伸びるように思います。この選手は、打ってナンボ、それも長打を打てるところにアピールポイントがあります。 ＜構え＞　☆☆☆ 　 　両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えバットを寝かせて構えます。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスと平均的。 　 ＜始動＞　平均 　投手の重心が下がりきったあたりで始動する、平均的なタイミング。これは、ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターが多く採用します。 　 ＜下半身＞　☆☆☆☆ 　 　足を地面から軽く浮かしまわしこんでくるので、始動～着地までの「間」はある程度取れています。速球でも変化球でもそれなりに対応できる打ち方で、強打者特有の脆さはありません。軽くベース側に踏み込んだ足元も、インパクトの際にもブレないでボールを捉えられており、外角や低めの球にも対応できますし、右方向への打撃も可能にします。 　 ＜上半身＞　☆☆☆ 　打撃の準備である「トップ」の形を早めに作れており、速い球にも立ち遅れません。ただ残念なのは、バットが身体から離れて出てくる振り出しで、バットの先端も下がるドアスイング。典型的な、金属バットの強打者的なスイングです。またスラッガーにしては、スイングの弧も小さめで、フォロースルーも活かせていません。現在は、金属バットの恩恵と体の力に頼ったスイングであり、木製バットでは苦労が予想されます。 　 ＜軸＞　☆☆☆☆ 　足の上げ下げが小さいので、目線は大きく動きません。体の開きも我慢出来ていますし、軸足にも強打者らしく強さが感じられます。

将来の可能性

　課題は、守備・走塁・スイング軌道の修正でしょうか。想像以上に下半身の使い方と軸がしっかりしているのは、調べてみて収穫でした。その辺が最終学年に改善されて来ると、アマでは貴重な大物打ちとして期待できるので期待したいところ。