伊田 有希選手 (総合技術)

伊田 有希

球歴:総合技術

都道府県:広島

ポジション:投手

投打:左 / 左

身長:170.0 cm

体重:62.0 kg

学年:卒業

寸評

 選抜でも強豪・履正社戦(2011年03月26日)に登板して、4安打に抑えた力投派左腕。この夏は、更に力強さを増していて驚きました。身体は小柄ですが、2012年度の中国地区代表する左腕としての活躍が期待されます。 (投球フォーム)  かなり身体を捻って投げ込む、独特のフォームが特徴です。 球速は常時130キロ台~135キロを超えていそうな力強いストレートを投げ込んできます。変化球は、左腕らしい大きなカーブと、左打者の外角に大きく逃げて行くスライダーとのコンビネーション。打者の内角を厳しく突くというクロスファイヤーの投球ではなく、右打者にも左打者にも、外角中心に投球を組み立ててきます。選抜では、90キロ台のスローカーブやスクリューボールのような球も投げていましたが、この夏の崇徳高校戦などを見ていると、そういった球は影を潜めておりました。  牽制は、かなり素早く投げ込みますし、二塁などにも頻繁に入れるところをみると、かなり自信を持っているのでしょう。フィールディングもまずまずですし、クィックも1.1秒台~1.2秒台で投げ込むなど平均レベル。そういった野球センス・運動神経は好い選手だと思います。ただマウンド捌きなどは、テンポの良さでガンガン行く爽快感はありますが、あまり細かい駆け引きをしたり、「間」を意識するような投球センスは感じられません。特に制球はアバウトな面があり、右打者に打たれるケースが目立ちます。左打者には、外に逃げて行くスライダーが有効で、厄介な投手だと言えるでしょう。 (投球フォーム) <広がる可能性>  足をニ塁側に送り、更に地面に向けて伸ばすフォームなので、お尻を三塁側には落とせません。そのため腕の振りが変わらないようなカーブや縦に鋭く落ちるような変化球の修得は厳しいです。その割に結構カーブを投げるので、少し無理のある投げ方にはなっています。前に大きくステップすることで、着地のタイミングは遅らせることができています。これにより身体を捻り出す時間を稼げるので、カーブやフォーク以外の球種を修得して、投球の幅を広げて行くことが期待できます。 <ボールの支配>  グラブは最後まで内に抱えられているので、両サイドの投げ分けは悪くないと思います。ただ足の甲の押し付けが浅いので、腕を思いっきり振るとボールが上吊る傾向があります。また「球持ち」はそれほど好い投げ方ではないので、将来的に細かい制球力を身につけられるかは微妙です。 <故障のリスク>  お尻が落とせない割に、カーブを結構使うので、その辺が少し気になります。またテイクバックした際に、背中のラインよりも肩が後ろに入り込んでおり、負担も少なくはありません。選抜の時はもっと腕を真上から投げ降ろしていたのを、少し下げて回旋を滑らかにしたのは、肩への負担の意味でも球質の向上の意味でも好かったと思います。いずれにしても、まだ負担が少ないフォームではないので、アフターケアには充分注意してもらいたいものです。 <実戦的な術>  「着地」までの粘りもソコソコなので、体の「開き」は早くありません。ボールの出所は見難く、打者からは合わせにくいとは思います。しかし実戦では、右打者に打たれるケースが目立ちます。  力投派の割には、意外に投げ終わったあと腕が体に絡んできません。速球と変化球との見分けをされないためにも、体に巻き付くような腕の振りを大切にして欲しいところ。独特のフォームなので、体重がどの程度乗っているのかわかりにくいです。選抜の時の方が地面の蹴り上げは強かったように見えますが、実際には春よりも球に勢いと球威が出てきました。フォームが良くなったというよりは、肉体の成長の部分かもしれません。
更新日時:2011.09.24

将来の可能性

 選抜に比べると、かなり印象がよくなりました。やや荒っぽい制球は気になりますが、すでに中国地区でもトップクラスの左腕になっているのだと思います。高卒プロとかそういったタイプではありませんが、大学や社会人などで実戦や実戦力を身につければ、いずれはプロなんて可能性もあると思います。ぜひ甲子園の舞台に、戻ってきて欲しい投手です。
更新日時:2011.09.24

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