「生光学園vs池田」3時間3分の濃度高き激闘

生光学園先発・松本 佳貴(3年)
夜のとばりが降りようとする中、ソーシャルディスタンスで校旗掲揚を見つめ、校歌に聴き入る生光学園の選手たち。その時、オロナミンC球場の時計は19時を回っていた。実に3時間3分の熱戦。加えて内容も濃度高きものとなった。
まず生光学園先発の松本 佳貴(3年・右投右打・180センチ77キロ・全播磨硬式野球団ヤング<兵庫>出身)。右サイドから繰り出すストレートは投球練習から最速142キロ。「球速を見て今日は状態がいいと感じ、立ち上がりから飛ばしていこうと思った」3回までは無安打投球。捕手が熱中症で途中交代を強いられた影響もあった中盤以降はやや乱れ、「次の試合のことも考えて」(監督)7回134球6安打4失点(自責点3)でマウンドを譲ることになったが、大学進学後に130キロ台のシンカー・チェンジアップ、120キロ後半のスライダー含めた全ての球速が5キロ程度増せば、大卒NPBドラフト指名も十分に望める逸材である。
一方、池田には驚きの2年生がいた。3回裏から2番手マウンドに立った篠原 颯斗(2年・181センチ79キロ・右投右打・美馬市立江原中出身)結果こそ2回48球5安打2失点(自責点0)ながらストレートは最速142キロを連発し、まっすぐなステップから放たれる球筋も上々。130キロ台のフォーク・120キロ台後半のスライダーなど変化球も多く持っており、「まだ甘いところがある」(井上 力監督)メンタル面さえ整えば、新チームでは現在、四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスでプレーする中学・高校の2年先輩である白川 恵翔と肩を並べる「四国屈指の好右腕」として名前があがること確実である。
試合は2回表二死満塁から4番・三浦 玄翔(3年・170センチ77キロ・右投右打・生光学園中ヤング出身)の左前2点適時打と5番・斎藤 成生(3年主将・右翼手・172センチ78キロ・生光学園ヤング出身)の左中間2点三塁打などで5点を奪った生光学園に軍配が上がったが、4番・二塁手として5回裏に追撃の2点適時打を放った丸井 健太朗(2年・168センチ72キロ・尼崎西リトルシニア<兵庫>出身)や、8回裏代打で技ありの右翼線二塁打を放ち、マスクも被った高野 光海(1年・捕手・右投右打・185センチ79キロ・伊丹中央ボーイズ<兵庫>出身)など、池田も下級生を中心によく食い下がった印象。
もちろん勝利は最も大事にべきものだが、同時に高校野球で大事とされることは「歴史をつなぐこと」。この激闘をグラウンド内外で感じた1・2年生たちが、どのように3年生たちの意思を継いでくれるかも含め、今後も両校の動向を楽しみにしたい。
(取材=寺下 友徳)