吉田 輝星選手 (金足農)

吉田 輝星

球歴:金足農

都道府県:秋田

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:176.0 cm

体重:81.0 kg

学年:卒業

短評

観戦レポートより抜粋(2017年8月14日)  金足農はエース・吉田 輝星が13奪三振で完投勝利。中盤からは変化球で緩急を付ける投球を見せ、リードを奪った終盤の8回からは140キロを越える力のあるストレートを連発。9回にはこの試合最速となる149キロを何度も記録するなど、相手打者を力でねじ伏せる剛腕ぶりを見せつけた。
更新日時:2018.08.15

短評

観戦レポートより抜粋(2018年8月8日)  大会ナンバーワン投手の呼び声高い金足農のエース、吉田 輝星(3年)がどんなピッチングをするかに興味が集まったが、予想通り素晴らしいピッチングを展開した。ストレートの球速は1回表、143キロ程度が多く、速さだけに興味がある人はがっかりしたと思う。しかし、よかったのは投球フォーム。  1回のピッチングに入る前、ステップする位置を丁寧に歩測する姿を見て、「ああ、このピッチャーはいいピッチングをするな」と思った。ちなみに、これまでステップする位置を歩測したピッチャーは生井 惇己慶應義塾)くらいしか思い出せない。  プレートの踏む位置は真ん中。鹿児島実の先発、吉村 陸矩(3年)は三塁側を踏み、金足農のスタメンに並ぶ8人の右打者の外角球に横の角度をつけようという工夫が見られたが、吉田は吉村より球速が10キロを上回るので、このあたりの感覚はアバウトだ。また、下半身がステップしてから、時間差で上半身が下半身を追いかけること。つまり、「下半身→上半身」という体の使い方ができているかどうかだが、この体重移動も依然として発展途上。それでいながら吉田の投球フォームには見る者を魅了する美しさがある。  投球フォームで最も重要なのは体(前肩)が開かないこと。これが吉田は完璧と言ってもいいくらいできている。「開かない」ことだけ一生懸命やると動きがぎくしゃくして投球フォーム全体が窮屈に見えるものだが、吉田の場合は動き全体がなめらかで、気になるのは繰り返しになるが、「下半身→上半身」の動きだけである。  体が開かない効用は奪三振の内容にしっかり現れている。奪った14個の三振のうちストレートで取ったのは12個あり、さらにそのうち10個が空振りだった。現代野球においてストレートで三振を奪うというのは多数派ではない。ストレートを見せておいて、フォークボールやチェンジアップで三振を奪うパターンが多いはずだ。それが吉田の場合は14奪三振のうち12個がストレート。これは前肩が開かないことによって打者はボールの出所が見えにくかったのだろ。  吉田の投球にも一度話を戻すと、目をみ見張ったのはギアチェンジしてスピードが上がった場面だ。5回表、1死二塁になり打者は1番の山下 馨矢(3年)。1ボール2ストライクになり吉田が4球目に投じた球は内角への148キロをストレート(この日の最速)。山下のバットがぴくりとも動かず見逃がしの三振に倒れるのだが、コントロールの緻密さ、勝負どころで内角勝負する度胸のよさなど吉田のよさがすべて出た場面として記憶に残る。
更新日時:2018.08.14

寸評

 日本人投手の理想形を描いた投手だ。  下半身主導のフォームから繰り出す150キロ近いストレートは回転数が高く、空振りが奪え、切れ味鋭い変化球。ピンチになるとギアを上げてねじ伏せるピッチング。高いけん制技術、遊撃手を見ているかのようなフィールディング…。三振を奪うと雄たけび。  観ていてワクワクさせる。それが吉田輝星だ。大会ナンバーワン右腕と呼ばれる吉田について迫ってみたい。  ストレート 常時135キロ~149キロ  140キロ台のストレートは回転数が素晴らしく、低めに決まる140キロ中盤のストレートは一級品。ひざ元にしっかりと投げることができており、また吉田は高めのストレートで勝負できる投手で、140キロ後半のストレートは高校生では捉えられない。2ストライクを取ってからのコマンド能力は非常に高く、インロー、アウトローと狙ったところでベストストレートを投げられる点は素晴らしい。空振り三振の多くはストレート。これはなかなかできることではない。  また、吉田は100のピッチングをするわけではなく、状況によっては、60~70パーセントぐらいのストレートを投げる。打たせて取るピッチングを見せる。スタミナもあり、8回~9回になっても、140キロ後半をたたき出せる異次元のスタミナは注目だ。  ただ、気になるのは意外とこれほど素晴らしいストレートを投げ込んでいるのにしっかりと打ち返された安打が多いということ。ボールの質が悪いのではなく、それを狙われる配球や雰囲気を出しているということ。彼が打たれているストレートはギアが入っていないときのストレート。ギアが入ったストレートは打たれていないのだから、ランナーがいなくてもギアを上げていったほうが、球数も少なくなるし、リズムも良くなる。そういうところに徹したほうが良いだろう。 120キロ前後のスライダー、 110キロ前後のカーブ 130キロ前後のスプリット  120キロ前後のスライダーは横滑りで、右打者の外角へしっかりと決まる。鹿児島実業戦では、結構抜け球が多かったが、大垣日大戦では、スライダーの制球力は良くなっていたが、基本的にストレート中心の投手となり、狙い球が絞りやすくなる。  ただ現状のままだと、今の強い腕の振りを生かせる変化球をマスターしたいところ。空振り三振が奪えていた130キロ前後のスプリット。もしくはプロのピッチャーが良く使っているカット系の変化球をマスターできるとピッチングの幅が広がりそう。 (高い守備力・間合いの取り方)  また吉田はピッチング以外の技術も素晴らしく、特にフィールディングは素晴らしい。出足が素晴らしく、投手前のバントにも難なく対応。けん制も鋭く、走者を背負っても間合いが一定にならず、ピッチングに専念できている。 (投球フォーム)  ノーワインドアップから始動する。左足を回しこむように上げていきながら、右足の膝を適度に伸ばしてバランスよく立つ。左足を遊撃方向へ伸ばしていきながら重心を下げていきながら、お尻からヒップファーストを取って、左ひざを伸ばしてゆったりと着地を行う。縦回転の動きができる投手で、ボールにも角度があり、縦系の変化球も投げられるフォームである。  そこから左腕のグラブを斜めに伸ばしていく。体が半身の状態となっているので、開きを抑えることができており、出どころも見にくくなる。テークバックの動きを見ると、内回りの旋回をしていきながら、トップを作る。この時、胸郭を柔軟に使い、しっかりと肘を上げることができており、リリースに入るまでの加速がスムーズ。そして打者寄りでリリースすることができており、フィニッシュの動きを見ると左足にしっかりと体重が乗り、フィニッシュを終えている。  フォーム一連の動きを見ると始動からフィニッシュの動きまでスムーズであり、開きも抑えられた理想的な投球フォームだ。
更新日時:2018.08.14

将来の可能性

 投手としての球速、ストレートのコマンド、投球以外の技術の高さ、メンタリティの強さ、終盤になっても140キロ後半を維持できる異次元のスタミナと投手として必要なものが備わっている。まだ変化球が甘く入ったりして打たれることはあるものの、大事な場面ではしっかりと抑える。勝てる投手としての素質は備わっている。  プロ志望届を出せば、甲子園での快投により評価は高騰し、上位指名は十分にあり得そう。プロ入り後はプロ1年目の9月、プロ2年目には一軍デビューができそうな総合力は備わっており、3~4年目には一軍ローテーションを担える投手になるのではないだろうか。
更新日時:2018.08.14

短評

 夏前でも取り上げた吉田輝星だが、この夏はまさにその期待に応える活躍を見せてくれた。下半身主導のフォームから繰り出す常時140キロ~140キロ後半のストレートの威力は素晴らしく、低めへの伸びも素晴らしい。 変化球の精度も素晴らしく、甲子園でどんなピッチングを見せてくれるのか。  よく、175センチほどで、フォームが良く、フィールディングも良く、ストレートの切れ、コントロール、変化球の精度を兼ね備えた右投手のことを「桑田二世」と表現することが多い。金足農の吉田はまさにそんな投手だ。  175センチ82キロと投手としてそれほど上背はない。だがピッチングを見ればそれを忘れさせるようなものを見せる。  ノーワインドアップから始動し、ゆったりと左足を上げていきながら、その後、ゆっくりとホームベースに向かって着地を行い、内回りのテークバックからトップに入り、リリース。一連の動作が実に無駄がなく、スムーズ。まるでお手本のような投手である。ストレートはこの春に最速147キロを計測。球持ちが良く、回転数が高いストレートは球速表示以上のものを感じさせ、キレのある変化球が決まると、攻略が難しい投手だ
更新日時:2018.08.08

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