4年前に輝いていた九州の「清宮世代」が懐かしい
法政大・三浦銀二(福岡大大濠出身)
10月11日に予定されている今年のドラフト会議に、少しワクワクしている。「少し」というのは、そのころ取材していた、あの選手が登場してくるかもしれないからだ。大学で活躍する今年のドラフト候補生は、4年前は高校3年生だった。2017年シーズン、甲子園で輝いていた高校球児だった。あれから4年の時を経て、彼らはどう成長してきたのか。ドラフトで待ち構えるドラマに、「少し」ワクワクしている。
2017年に高校3年生だった彼らは1999年度生まれ。そう、ピンと来た人もいると思うが「清宮世代」なのだ。高校通算111本をひっさげ日本ハムにドラフト1位入団。今は苦しんでいるが、早稲田実1年夏に甲子園にやってきたときは、日本中がフィーバーした。高校野球100年のメモリアルイヤーに誕生したスターだった。その清宮と「同級生」の選手。当然、高卒でプロ入りした選手もいるが、大学でじっくり鍛えてプロ入りを目指す選手は多い。
そのころ、九州で取材をしていた私には、直接取材して心に残った選手は多い。当時のスコアブックをめくってみた。名前が載っていた主な選手は以下の通り。
法政大・三浦 銀二投手(福岡大大濠)
立教大・川端 健斗投手(秀岳館)
関西国際大・安田 大将投手(東海大福岡)
九産大・佐田 健介投手(東海大福岡)
中央大・古賀 悠斗捕手(福岡大大濠)
中部学院大・広部 就平内野手(秀岳館)
福岡大・井上 絢登外野手(久留米商)
最後に名前を挙げたのは、「久留米商のギータ」と勝手にネーミングしたフルスイングを武器とした左打者だ。予備知識なく久留米商の試合を取材していると、強烈なスイングで三振を繰り返していた4番打者がいた。ソフトバンク柳田と同じ背番号9でもあり、面白いなとファインダーを向けていたら、その試合の決勝ソロを豪快なスイングで放った。自分でもびっくりするくらい、いい写真が取れた。井上は次の試合もホームランを放った。ちょっとした旬な人になった。準決勝で敗れたが、久留米商の85年以来、32年ぶりとなるベスト4に貢献した。
福岡大に進学すると1年春からリーグ戦に出場し4年間、九州六大学で活躍した。今年春のリーグ戦まで、すべてのリーグ戦(20年春はコロナ禍で中止)で本塁打をマークし、選手権でも2本放っている。彼がプロ志望届を出したニュースに触れ、スコアブックをめくることになったわけだ。
東海大福岡は17年センバツ2回戦で早稲田実に勝利した。エース安田は清宮に2安打され8失点ながら、打線の援護もあり162球完投の粘投だった。夏は出場できなかった清宮にすれば「甲子園最後の試合」になった。
残念なことに今年の九州の大学のドラフト上位指名候補の西日本工大・隅田 知一郎投手(波佐見)は取材はおろか、存在も知らなかった。
もちろん4年前のドラフトで指名され、現在もプロ入りしている選手がいて懐かしかった。
ヤクルト 村上 宗隆内野手(九州学院)
ソフトバンク 田浦 文丸投手(秀岳館)
広島 山口 翔投手(熊本工)
ライオンズ 高木 渉外野手(真颯館)
日本ハム 田中 瑛斗投手(柳ヶ浦)
ヤクルト村上はジャパンを代表するスラッガーになっている。中学時代から清宮に「すごい」と言わせた男は、高校1年の夏のデビュー戦となった初戦で4番スタメン出場すると初回に回ってきた無死満塁の高校初打席でバックスクリーンへの本塁打をかっ飛ばした。強烈なデビューにシャッターを押しながら興奮していたのが、昨日のことのようだ。
「松坂世代」のときも、4年後にドラフト上位でプロ入りした選手は多かった。「清宮世代」もきっとそうなるだろう。九州からもスターが誕生することを願う。
(記事:浦田 由紀夫)