多彩な野球を見せる西武台(埼玉)の源は「アクティブラーニング」にあり!【後編】
昨秋の埼玉県大会を準優勝し、関東大会では神宮大会準優勝を果たした健大高崎と善戦。9回まで同点の熱戦を演じたのは西武台だ。
県大会では豆田泰志を擁する浦和実や、タレント揃う昌平を倒すなどの快進撃を見せて、今春以降も注目が集まる実力校だ。そんな西武台のチームの強さはどこにあるのか。後編では技術だけではない指導面にも迫りました。
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「打ち勝つ」チームへ一変させるべく、取り組んだ技術革新 西武台(埼玉)【前編】
コミュニケーション、そして頭の中の整理に効果を発揮したアクティブラーニング
秋は監督としてベンチに入った福喜多繁尊コーチ
そして福喜多繁尊コーチはミーティングにも力を入れてきたことが、「打ち勝つ」チームを作るうえでは大きな効果を発揮した。
「今までは選手たちが話を進めて、河野(創太)監督がメモを取っていました。けど、もう少し話を詰めることが出来ると感じていましたので、5、6人の小グループで話し合うアクティブラーニングを採用しました。そうすることで、選手たちの野球に対する理解度が高くなって、しっかりと野球に対して考えて取り組めるようになりました」
すると、大会期間中でも選手たちの間で自然と指示を出し合えるようになり、福喜多コーチが指示を出す前に選手間でコミュニケーションを取れる仕組みが出来上がった。
また、福喜多コーチは選手たちへ、「3球で攻撃が終わっても構わない」と伝えている。
「甲子園に試合観戦に行ったとき感じましたが、強豪校は初球から振っていく姿勢があるんですよね。際どいボールを平然と見逃すところがウチの選手はありましたので、だったら打ち行けるようにして、それで凡退だったら怒らないようにしました」
しかし、ただやみくもに打つわけではない。相手投手の投球練習で7球を投げる間、選手たち同士で狙い球を絞らせる。そういったしっかりとした準備させたうえで、選手たちに積極性を持たせて打たせること許している。
「打ち勝つ」チームを作るために、とにかくスイングのスピードやフォームと言った技術面だけではなく、攻め方と言った戦略面もきっちり整備したことが西武台の野球を支えたのだろう。
[page_break:福喜多コーチと河野監督の教えを掛け合わせて、さらなる成長を]福喜多コーチと河野監督の教えを掛け合わせて、さらなる成長を
西武台の選手たち
そして現在は再び河野監督が指揮官として復帰し、福喜多コーチはサポートへ回った。1年生の深田翔太は「河野監督は小技もサインとして起用するので、その辺りもしっかりやっていきたいです」と語るように、河野監督はバントも要所で使えるように準備を進めている。
「秋は盗塁が0で、バントもせずに本当に打ち勝ってくれました。ただ、選手に聞いても『要所の場面でのバントの重要性を感じた』というんです。ですので、福喜多コーチが作ってきたチームを残しながら、私がやっていた走塁や小技などを上手く取り入れられればと思っています」
当初、「横浜の渡辺元智さんと小倉清一郎さんにような間柄の相棒が欲しくて、福喜多コーチを呼んだのですが、とても勉強になりました」と河野監督は語る。
すると福喜多コーチは、「挨拶など、人としての土台の部分や、夜遅くまでナイターを使っても許されるような地域との間柄を河野監督が5,6年で作ってくださった」ことに感謝していた。
福喜多コーチが作り上げた秋までのチーム、そして河野監督がこれまで培ってきた育成術。この2つが掛け合わされば、春にはまた違った西武台となっているはずだ。
(文・田中 裕毅)
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