Column

新田(愛媛) 毎年、夏に訪れる「新たな挑戦」に終止符を

2020.02.12

 これまで2度の選抜甲子園出場経験を持つ新田。昨秋は秋季愛媛県大会で3位に滑り込み、3度目の選抜甲子園へ期待が膨らんだが、秋季四国大会では準々決勝で尽誠学園に3対7で敗戦。あと一歩のところで選抜甲子園には届かなかった。

 甲子園のチャンスは残り1回。新田ナインは、秋の結果から何を感じ取りオフシーズンに入ったのか。今回は新田を率いる岡田茂雄監督、主将の松永倖輔、そしてエースの渡部凱斗の言葉から紐解いていく。

「柔軟性」と「力強さ」で本塁打増へ

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練習試合での新田の選手たち

 前チームから経験を積んでいるエースの138キロ右腕・渡部凱斗などが残り、期待が持てる中でスタートした新チーム。岡田監督は秋季大会を迎える際に、あえて「選抜甲子園出場」を選手たちに強く意識させたと振り返る。

 「秋に向けて、甲子園というものを強く意識させて取り組んでいましたが、選手たちは目標に向かって強い意識を持ってプレーできたと思います。結果はベスト8で終わりましたが、そこは得るものは大きかったかなと思います」

 秋季四国大会準決勝では小松との壮絶な打撃戦の末、10対11で敗れて3位決定戦に回ったが、帝京第五との3位決定戦は渡部の奮投もあり4対2で競り勝つ。4年ぶり9回目の出場を果たした秋季四国大会でも、1回戦で川島に6対0で完勝。
 上位進出の経験が無い中でも、甲子園を意識しながら自分たちの野球ができたことに、岡田監督は一定の手応えを掴んだのだ。

 「チームの課題は、柔軟性と力強さです。打撃でも守備でも、柔軟性と力強さが足りなかったかなと思うので、これからは柔軟性と力強さを兼ね備えた強いチームにしていきたいなと思います」

 岡田監督が「柔軟性」と「力強さ」を求めるのには理由がある。チームの本塁打が1本も出なかったためだ。「柔軟性」と「力強さ」を向上させることで打撃力をアップさせ、チームの本塁打数も増やす狙いだ。

 そして、そのことは選手たちも自覚している。
 主将の松永も、「四国大会に上がってきた他のチームにはホームランがあったのに、自分たちにはそれが無かった」と振り返り、冬のトレーニングでは「ホームランを打てる打撃力を身に付けたい」と力強く宣言した。

[page_break:新たな挑戦へ不可欠なメンタル強化]

新たな挑戦へ不可欠なメンタル強化

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エースの渡部凱斗(左)と主将の松永倖輔(右)

 また、岡田監督は精神的な面での成長も選手たちに求めている。
 新田は選抜甲子園への出場経験はあるが、夏の選手権大会への出場はまだ無い。そのため、夏は毎年甲子園のみを意識する中で戦うことが求められ、そのプレッシャーに耐えられる精神力も必要になるのだ。

 「新田はまだ夏の甲子園に出場したことないので、新たな挑戦がずっと続いています。一皮剥けるためには、『新たな挑戦への意識』を強く持たせ続けないといけないので、オフシーズンであっても強い気持ちを忘れてはなりません」

 前チームから主戦を任されるエースの渡部は、岡田監督が語るメンタル面の重要性を最も理解する一人だ。昨夏の全国高校野球選手権愛媛大会1回戦・小松戦に先発した渡部は、2本の本塁打を浴びて4失点で負け投手に。8回11奪三振の力投を見せるも、序盤の失点が響いてチームは敗退し、メンタルを強く持ち続ける重要性を強く感じた。

 「野球は、ほとんどがピッチャーが(重要性を)占めていると自分は考えています。試合を左右する責任のあるポジションなので、勝負強さがとても大事になってきます。
 夏は一回しかないので、ワンチャンスをものにできるようにチーム全体で夏に向けてやっていきたいと思います」

 もちろん、主将の松永も気持ちの面では負けていない。
 四国大会に出場したとは言え、県大会では準決勝で敗れている。夏は1敗も許されないことを肝に銘じ、不退転の覚悟で冬を過ごすことを誓う。

 「秋は一度、小松に負けていますが、夏は負けたら終わりです。最終的な目標は甲子園で勝つことですが、そのためには愛媛を勝ち抜かなくてはいけないので、一発勝負で自分の力を発揮できるように強い力をつけていきたいと思います」

 毎年、夏に訪れる「新たな挑戦」に終止符を打てるか。すべてはこの冬に懸かっている。

(記事=栗崎 祐太朗

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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