取って取られて、取られて取って3時間余の大熱闘、静岡が加藤学園にサヨナラ
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<第104回全国高校野球選手権静岡大会:静岡7-6加藤学園>◇22日◇4回戦◇静岡草薙
昨夏の優勝校の静岡。2年連続優勝を目指す。今春も県大会準優勝で第1シード校となっていて2回戦から登場して、初戦は難敵かと思われた磐田東に8対2と快勝。3回戦は、東部地区の進学校沼津東に10対4。まずは順調に勝ち上がってきている。
この対戦は昨秋も県大会3回戦で実現していて、この時は静岡が4対1で加藤学園を下している。
その加藤学園、今大会はノーシードで1回戦からとなったが、1回戦から10対0、15対0、3回戦の富士宮東にも10対0と、すべて無失点でコールド勝ちしてきており、チームは波に乗っている。米山 学監督も、「チームがバタバタしなくなって、自分たちのやれることをきちんとこなしていくという姿勢が、徹底できてきた」と、昨秋、今春からのチームの成長を実感している。
静岡はスラリとした長身右腕で春季大会を通して大きく成長したという法月。加藤学園は2年生ながら1番をつけた左腕大木が先発。ともにエースナンバーを背負う同士の対決となった。序盤の1、2回は、お互いに走者を出すものの、もう一つ攻めきれず様子を見あうような感じのところもあった。
先制したのは加藤学園で3回、2死一塁に四球の太田 圭哉を置いたところで、5番小林 千哩が左翼フェンスを直撃する大三塁打を放ってかえす。さらに続く井土も中前へはじき返して三塁走者をかえして、この回2点が入った。その裏を3人で抑えた加藤学園は4回にも、8番水口の内野安打からバント失策なども絡んでチャンスを広げて、2死一、三塁から3番太田 侑希が一、二塁間をゴロで破って3点目の走者を迎え入れた。
しかし静岡もその裏、連続四球とバントで1死二、三塁として、6番藤田、7番知念が中前、右前への連続適時打と、8番山根の左犠飛で、たちまち同点とした。大木投手はこの回、球が高めにバラついてしまい、制球が苦しくなり、ストライクを取りに行ったところを逃さない静岡打線に捉えられた。
これで試合は振り出しに戻った。
6回の加藤学園の守りの前に、選手治療で少し時間が空いた。その再開直後、静岡の4番吉田 優飛に左翼ソロ本塁打が飛び出した。これで、米山監督は大木投手を諦めて、前日好投した佐野を投入した。佐野は、その後を3人でしっかりと抑えてその任を果たした。
追いかける立場になった加藤学園だったが、7回には先頭の2番太田圭哉が二塁打してプレッシャーをかける。さすがに法月も慎重になりすぎたか、2つの四球を打与えて2死満塁となる。佐野のところで、代打として1年生の北條を送ったが、北條はよく見て四球を選んで押し出し。今度は加藤学園が追いついて再び同点となった。
その裏から、加藤学園のマウンドは3人目の船橋が上がるが、左サイドからのキレのいい球が特徴の投手だ。経験値もあり米山監督の信頼も高い。
これで再びリズムを呼び寄せた加藤学園は8回、9番小林 龍芽が左前打すると、バントで進め、2番太田 圭哉が右越え三塁打で再リード。ここで静岡の池田 新之介監督は法月を外野に下げて、吉田 優飛を外野からマウンドに送った。その1球目が暴投となって三塁走者がかえり、加藤学園が2点リードとなった。吉田は、その後は打たれながらも、本塁タッチアウトなどもあって何とか抑えた。
粘る静岡はその裏、先頭が失策で出ると、吉田 優飛が中前打で繋ぎ、1死後、藤田の左前打で1点差として、知念も続いて1死満塁から猪股の中犠飛で追いついた。
そして9回、1死後ストレートの四球で出ると再び法月がマウンドに戻った静岡は、遊撃手山本の好守などで凌ぐ。その裏の静岡は、攻守を見せた山本からで、まさに「守りから攻撃へリズムを作ろう」の言葉通り、山本が左前打で出ると、山岸は初球をしっかりとバントして1死二塁。2死後、4番吉田 優飛は申告敬遠となったが、5番袴田が中前へ、まさに意地の一打を放って二塁から山本が歓喜のサヨナラホームインとなった。
3時間を超える大熱戦を最後サヨナラで制した静岡。池田監督は、「選手たちは、最後まで諦めないという気持ちがあった。リードされても最少に食い止めて行けば大丈夫だ、という気持ちが強かった。その気持ちが、土壇場で力を発揮できた」と、選手の粘りを称えた。そして、「まだ、これから三つある。ここからが本番です」と、連覇へ向けて引き締めていた。
あと一歩及ばなかった加藤学園米山監督は、「勝てなかったということは残念でしたが、どこかに反省点があるということです。だけど、昨秋や春の大会までは、どことなく自信なさそうにやっていた選手たちが堂々と戦ってくれた。これは、チームとして成長したと言っていい」と、夏へ向けて、選手たちが意識を高めていく姿勢がしっかりしてきていたことを高く評価としていた。
加藤学園としても、甲子園という檜舞台に手がと届きかかっているといっていいのではないだろうか。次なるチームへの期待も大いに高まっていく。
(取材=手束 仁)