注目のエースが好投した静岡、昨秋県1位の藤枝明誠に完封勝ち



完封勝利の静岡・高須君

 選手個々の能力の高さとスケールの大きさでは県内では一番と言われる存在の静岡。昨秋も、当然優勝候補筆頭に押されていたのだが、準々決勝で三島南に屈して東海大会進出を逃した。また、12年間チームを率いてきた栗林 俊輔前監督が県の人事で異動となって、3月の試合が最後となって、4月からは島田商から異動した池田 新之介監督が指揮を執ることとなった。前日は苦しい試合だったが、サヨナラで島田工を下した。

 藤枝明誠は、秋季県大会は2年連続で優勝。甲子園へは2017年夏に悲願の初出場を果たすなど、近年は県内では最も安定した力を示す存在となっている。前日の準々決勝でも、エース藤枝明誠君が好投して、東海大静岡翔洋に完封勝ちしている。

 実力校同士の注目の対戦となったこの日の試合だ。

 静岡は注目の高須君が先発。この日もプロ野球のスカウト7球団ほどが訪れていた。それくらいの注目の逸材である。その高須君の長身から投げ下ろしてくるストレートと角度のあるスライダーを藤枝明誠打線がどう攻略していくのかが見どころとなった。

 対する藤枝明誠の山田君も制球よく、丁寧な投球で好投。試合は完全な投手戦となった。

 先制したのは静岡で5回、先頭の8番高須君自らが中前打で出るとバントで進んで一死二塁。金子君が繋ぐと四球もあって二死満塁となる。ここで4番池田君はひっかけ気味ではあったが内野安打となって三塁走者が帰った。藤枝明誠は5回まで2安打で、三塁へ走者を進めることも出来なかった。この日の高須君は、最速142キロ。ビックリするようなスピードではないものの、コンスタントに130キロ台後半をマーク。力まず7~8分程度の力で投げていた。

 6回から藤枝明誠の光岡孝監督は、前日に東海大静岡翔洋に完封勝利している左腕小林君を投入。小林君は、足をピンと跳ね上げてバネを利かせた独特の投法でリズムがいい。昨秋から注目されている投手である。

 この小林君に対して静岡は8回、死球の池田君を置いて6番の前の打席に代打で出てそのまま一塁に入っていた長島君が中前打で繋いで二死一三塁とする。この場面で7番宮本君がしぶとく中前へ運んで貴重な2点目を奪った。

 この日の高須君の出来からしても非常に大きな2点目だった。

 その裏、藤枝明誠は二死から、高下君と宮城君と初めての連打で一三塁とした。さらに二三塁となったものの、高須君はその後の大岩君を落ち着いて打ち取った。初めての三塁まで進んだ走者だったが、決して慌てることはなかった。

 球のキレ味もさることながら、高須君は初回こそ、先頭の宮城君に中前打されたものの、他の安打はいずれも二死からというもの。先頭打者を出さないという投球も、一つの力と言っていいであろう。

 昨日の静岡での初采配に続いて、この日が2度目の母校での指揮となった池田新之介監督。

 「(高須君)本人から、投げるのであれば日曜日の試合に万全な形で投げたいという申し出がありました。それで、昨日は投げさせずに今日行かせました。要所はきちんと押さえていかれたし、いい投球だったと思います。昨日は高須を投げさせないという中で、ちょっと乱戦になってしまいましたが、次の投手を育てていかなくてはならないということも、このチームの課題ではあると思います。そういう意味ではいい経験だったかもしれません」と振り返っていた。

 そして、県内一番の伝統校でブランド校でもある静岡の監督として就任したことに関しては、「母校でもありますから、いよいよ来たなという気持ちもありました。責任も大きいと思います。ただ、異動に際しては、これから試合がありますが前任校(島田商)の生徒たちは、とても真面目で一生懸命やる子たちでした。その子たちと一緒に甲子園を目指したかったなという思いも正直ありました」と複雑な思いを語ってくれた。

 とはいえ、公立校の教員で高校野球の監督を務めるということは、異動は避けて通れない宿命でもある。

 池田監督は、気持ちを新たに名門静岡で甲子園を目指していこうという意欲を表していた。なお、中京大では2年後輩に、今年のセンバツベスト4に進出した中京大中京の高橋 源一郎監督がいたという。

(記事:手束 仁