山村学園が大宮東と互角の展開も最後サヨナラで山村学園がベスト8進出!

山村学園がサヨナラ勝利
<秋季高校野球埼玉県大会:山村学園3-2大宮東(9回サヨナラ)>◇22日◇3回戦◇県営大宮
県営大宮球場の第2試合は昨夏ベスト4で今大会もシードに選ばれた山村学園対前日に上尾を下した南部の強豪・大宮東である。
スタメンでは、山村学園は前日の継続試合から打順を少々変え、前日4番の高野 壮瑠内野手(2年)を3番に入れ、4番には前日6番を打っていた加藤大輔内野手(2年)を上げる。前日3番を打っていた田中 大貴外野手(1年)が5番に下がり、6番には前日5番を打っていた藤原 将輝外野手(1年)が入る。一方の大宮東は新チームになって初めて見るが、夏1番を打っていた渡邉健翔内野手(2年)が3番に入り、夏6番の川合海人捕手(2年)はそのまま、夏8番を打っていた白田友輝内野手(2年)が4番に入る。そして監督はこの代から飯野新監督が指揮する。
先発は、山村学園が前日同様、右横手投げの鹿島 駿吾投手(2年)、一方の大宮東も前日の上尾戦で180センチの長身1年生左腕の飯島恒太に投げ勝った、同じく182センチの長身1年生左腕の富士大和が前日からの連投で試合が始まる。
鹿島はサイドとアンダーの間の位置から投球する技巧派右腕。一方の富士はスリークォーターの位置から肘を畳んで投げる独特なフォームがウリの好投手だ。
試合は両者互角の展開で、序盤は大宮東ペースであった。
2回表、この回先頭の白田が左中間への二塁打を放ち出塁すると、続く桑野倖成外野手(2年)も右前安打を放ち無死一、三塁とする。6番・川合のところで大宮東ベンチはスクイズを仕掛けるがファウルになると、その後、投手ゴロに倒れる。後続が凡退し得点を奪えない。
先制したのは大宮東であった。
4回表、この回先頭の渡邉が死球で出塁すると、すぐさま二盗を試みるがこれは失敗に終わる。それでも続く白田が中前安打を放ち再度チャンスメークすると、続く桑野のところで大宮東ベンチはエンドランを仕掛ける。桑野は期待に応え右前安打を放ち1死一、三塁とすると、6番・川合のところで再度スクイズを仕掛け今度は成功し、まず1点。続く横島大暉内野手(2年)も左中間への適時二塁打を放ち2点を先行する。
これにはたまらず山村学園ベンチは鹿島から1年生左腕の西川 歩投手にスイッチする。
大宮東は山村学園・西川の代わり端を狙い、8番・田嶋晴斗内野手(2年)が四球を選び2死一、二塁とチャンスを迎えるが、続く富士は執拗に粘るも三振に倒れ、2点でこの回の攻撃を終える。
先制を許した山村学園はその裏、すぐに反撃を開始する。この回先頭の今岡 達哉内野手(2年)が左前安打を放ち出塁すると、続く高野がきっちりと送り1死二塁とする。さらに4番・加藤が右翼線へ適時二塁打を放ちまず1点。さらに続く田中が右前へポトリと落ちる適時打を放ち2対2の同点とする。
その後、山村学園・西川が持ち味である回転数の多い直球を武器に、大宮東打線から8回までの4.1回で7奪三振を奪い三振の山を築く。前回の春日部戦とは別人の投球を披露すれば、大宮東・富士も5回以降の3イニング山村学園打線をパーフェクトに抑える。このあたりは共に軟式の埼玉県選抜である西武ライオンズジュニアユースでチームメートだった西川と富士両投手の意地の張り合いとなる。
やや連投の疲れが見え始めた大宮東・富士に対し、山村学園打線が捉え始めたこともあり、終盤は山村学園ペースとなる。
8回裏には、この回先頭の山田 拓海捕手(2年)が右中間へ二塁打を放ち出塁するが、続く西川がバントを試みるが三塁でアウトになる。後続も倒れ無得点に終わり、勝負は最終回へと進む。
9回表、大宮東は前の回一塁に出塁し再三の牽制を受けたことの影響からか、制球が乱れ始めた山村学園・西川を攻める。この回先頭の桑野は3ボールとなるが、次の球を打ち上げて遊飛になる。それでも2死後、7番・横島が一塁への内野安打で出塁すると、続く田嶋が四球を選び2死一、二塁とする。
ここで、山村学園ベンチは西川を諦め、青木 孔志投手(1年)へとスイッチする。
青木は期待に応え後続を抑える。
すると、山村学園はその裏、1死から5番・加藤が左前安打を放ち出塁すると、続く代打・間庭遥斗(2年)がきっちりと送り2死二塁とする。最後は代打・横手勇人(2年)が左翼フェンス直撃のサヨナラ適時打を放ち勝負あり。
山村学園が3対2のサヨナラで大宮東に勝利しベスト8進出を果たし、来春のシード権を獲得した。
大宮東はシード校相手に互角の展開であったが、あと1歩届かなかった。1年生左腕・富士は良く投げたが、最後は連投の富士が力尽きた形だ。今大会誤算だったのは今夏の先発経験もある森川が出遅れてメンバーに入れず、富士に負担がかかってしまったことか。
「富士は昨日(21日)より良いぐらいの出来でした。鹿島、西川両投手の対策は立てていたんですが捉えきれなかった。接戦を拾えなかった原因を探って、勝負と人間形成の両輪で。取り組む姿勢や人間教育に本気で取り組んでいこう、ハイブリットベースボールで行こうと」(飯野監督)と、新監督になり、この日の悔しさを胸に春以降新たな風を吹かせることはできるか。
一方の、山村学園も「なぜこの代がシードに選ばれたのかわからない。これまでもっと戦力が整った代はあったのに(笑い)。強くはないが弱くもないので、一戦一戦勝ち上がって自信をつけてくれたら」(岡野監督)と、自虐を入れつつも期待をかけていた。打線は前の試合が5安打、この日も7安打と旧チームに比べるとスケールダウンは否めない。それを補うのは投手陣だ。それぞれタイプが違い、特徴がある。今後も投手陣が引っ張る形は続くであろう。何より西川が復活したのは大きい。ただし、次の相手は夏のリベンジに燃える西武台である。強力打線がウリのチームが相手だけに、山村学園投手陣の真価が問われる一戦となる。
いずれにせよ、山村学園・西川と大宮東・富士、そして上尾・飯島、元チームメイトのこの3人の1年生左腕投手のライバル関係は今後も続きそうだ。素晴らしい対決であった。
(取材=南 英博)