試合レポート

浦和学院vs西武台

2022.05.02

西武台の粘りも及ばず、高山の3ランで突き放した浦和学院が準決勝進出!

浦和学院vs西武台 | 高校野球ドットコム
浅田康成(浦和学院)

<春季高校野球埼玉大会:浦和学院7-2西武台>◇1日◇準々決勝◇県営大宮

 午後から雨予報のこの日、大会はベスト8、佳境を迎える。

 優勝候補筆頭、Aシード・浦和学院vss最速143キロ右腕・渡邊新太(3年)を擁する西武台との一戦である。西武台・渡邊は前の試合で、昨秋浦和学院が誇る二枚看板、宮城誇南(3年)・金田優太(3年)から7点を奪った強打の大宮東打線を完封しており、浦和学院打線にどれだけ通用するか楽しみな所だ。

 西武台は前の試合から多少打順を変更し、県大会初戦の叡明戦とほぼ同様のスタメン。唯一違うのは9番に野村亮輔(3年)を入れたことだ。

 一方の浦和学院の宮城・金田の二枚看板は「本人達は出たがっているんですが、今大会は他の選手を一本立ちさせたい」(森監督)ということで今大会は控えに回っている。

 前の試合からの変更点は、今大会これまで4番の伊丹一博(3年)がセンバツ同様の2番に入り、4番には鍋倉和弘(3年)が復帰する。前の試合9番の三宅流架(3年)が7番に入り、今大会これまで2番を打っていた大内碧真(3年)がセンバツ同様9番に入る。

 先発は西武台がエース渡邊、一方の浦和学院は、センバツ近江戦でも先発した浅田康成(3年)がマウンドに上がり試合が始まる。

 先制したのは西武台であった。
 2回表、西武台は1死から5番・内藤暖稀(3年)が中越えの二塁打を放ち出塁すると、続く杉本誉士(2年)も四球を選び1死一、二塁とする。2死後、8番・松山奏之伸(3年)が中前適時打を放ち1点を先制する。



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ホームランを放った高山維月(浦和学院)

 浦和学院は今大会初失点を喫する。だが、浦和学院は全く慌てなかった。

 その裏、1死から5番・高山維月(3年)が左前安打を放ち出塁すると、さらに相手ボークで二進する。だが続く八谷晟歩(3年)のバントを渡邊に三塁封殺され2死一塁とチャンスが萎む。それでも、一走・八谷がすぐさま二盗を決め2死二塁とすると、7番・三宅が三塁線を破るタイムリー二塁打を放ちすぐさま同点とする。

 浦和学院は3回裏にもこの回先頭の大内が右翼フェンス直撃の二塁打を放ち出塁すると、続く小林聖周(2年)の犠打に対し、三塁封殺を狙った西武台・渡邊が三塁へ悪送球を放りまず1点、さらに、2番・伊丹がきっちりと送り1死三塁とすると、続く大勝朱恩(3年)が四球を選び1死一、三塁となったところで西武台ベンチは早くも渡邊を諦め、2番手に左サイドの松原康介(3年)を投入する。

 浦和学院は2番手・松原の代わり端を攻め、4番・鍋倉が死球で出塁し1死満塁とチャンスを広げると、続く高山がきっちりと犠飛を放ち3対1とする。

 浦和学院は5回裏にも1死から大勝が死球で出塁すると、2死後高山が右前安打を放ち2死一、三塁とする。ここで、6番・八谷が左前適時打を放ち4対1とする。

 西武台の反撃は6回表、1死から3番・岩本大瑚(3年)が右翼線へ二塁打を放ち出塁すると、続く青山廣大(3年)が三塁線を破る適時二塁打を放ち4対2とする。

 7回からは今大会初登板となる金田が登板する。金田は久しぶりのマウンドということもあり、安打こそ浴びるが要所を締め無失点で切り抜け味方の反撃を待つ。

 すると、スイッチが入ったか浦和学院はその裏、西武台の3番手・福本将平(3年)を攻めたて、この回先頭の大勝が一塁への内野安打で出塁すると、続く鍋倉が右前安打を放ち無死一、三塁とする。ここで5番・高山が左中間へ3ランを放ち7対2とし試合の大勢は決まった。

 この場面、高山は「変化球を頭に入れながらの状況だったので少し詰まっていた。秋の向上戦のようなバッティングができました」と、詰まりながらフェンスの高い[stadium]県営大宮球場[/stadium]の左中間へ放り込むあたりは、さすがの一言につきる。

 最終回は、エース宮城が満を辞してセンバツ以来となる公式戦登板。三者凡退で試合終了した。

 結局、浦和学院西武台に7対2で下しベスト4へ進出した。


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渡邊新太(西武台)

 西武台は、この日は最初から継投で行くと決めていた。「元々今大会、渡邊の状態は良くなくて、将来がある子なので最初から継投と決めていた。本人には何で代えるんだという目をされましたが(笑い)。ある程度できた部分もありましたが、相手が2枚も3枚も上手。機動力は封じられ、簡単に一、三塁にされてしまって、あの3ランで心を砕かれた。あれがただのタイムリーなどであればついていけるんですけど。このレベルの相手になると打たないと勝てない」と河野監督も話していたが、中盤までは食い下がるも終盤に1発を浴び引導を渡された形となった。

 とはいえ、ここまでの戦いに手応えも掴んでいた。夏は渡邊もフルスロットルで臨むであろう。

 浦和学院にとって、今大会は今までの春季大会への臨み方とは違う。春でも勝負への比重が高かった前監督と違い、森大新監督に代わったことでのチームの変化が見られる。このやり方だと今後は春に早期敗退をすることもあるであろう。

 念のため言っておくが、これはあくまで方法論であり、どちらが良い悪いということを言っているのではない。金田、宮城を温存し、それ以外の選手達の自律が目的だ。今大会は投手陣では浅田や芳野、月野がその役を担い、野手では喜屋武や大勝、三宅、三上、三井など、新戦力やスタメン当落線上の選手を積極起用し、チーム内の競争を促している。

 ただし、次の相手はBシード・上尾だ。昨秋は1点差の接戦であった。あと一つ勝てば関東という状況で森大監督がどのような采配を見せるか。楽しみな部分である。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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