2020年08月14日 埼玉県営大宮公園野球場

花咲徳栄vs春日部共栄

2020年夏季埼玉県高等学校野球大会 3回戦
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花咲徳栄が試合巧者ぶりを発揮し勝利するも、待たれる主砲の復活

 埼玉県大会は序盤の大きな山場を迎えた。
 第102回全国高校野球選手権大会の代替大会である夏季埼玉県高等学校野球大会。今大会のローカルルールとしてシード制を取っていない。それにより早くも東部地区3回戦で花咲徳栄春日部共栄という埼玉4強である2チームの対戦が実現した。通常の県大会が行われていれば実質ベスト8かベスト4クラスのカードであろう。

 昨夏もベスト4で両者熱戦を演じたが、今大会は地区大会を優勝した4チームによる準決勝と決まっており、地区を優勝しないとメットライフドームへは進めない。従って同地区である両チームはいずれどこかで倒さなければいけない大きな山であり、この県営大宮球場で行われる試合が今大会の今後を占うと言っても過言ではない。

 今大会は3年生大会の意味合いが強い。それが、両チームのメンバー選考にも反映されている。まず3日前の甲子園交流試合(以下交流試合)から埼玉へとんぼ返りし、昨日初戦を突破した花咲徳栄は、連戦でこの日を迎える。交流試合からショート・浜岡 陸、ライト・飛川 征陽と2人の2年生が今大会はメンバーから外れ、3年生の南雲壱太と大里侑也がスタメンに入るなど、ベンチ入り全員3年生でこの試合に臨むこととなった。

 また花咲徳栄は今大会7イニング制ということで交流試合から打順を大きく動かしてきた。主砲の井上 朋也を1番に入れ、そこから中井 大我田村大哉南 大輔と昨夏の甲子園出場メンバーが並ぶ。おそらく本来スロースターターで3巡目、4巡目で確実に捉える打線の特徴を意識し初回からビックイニングを作りに行こうという目的であろう。

 一方の春日部共栄も昨秋はここぞという試合は左腕の高橋正吾、キャッチャーも石﨑慶太郎と1年生バッテリーがメインであったが、今大会はメンバー全員が3年生である。

 先発は花咲徳栄がエース髙森陽生、一方の春日部共栄は新チーム結成時外野手であり、その後ピッチャーへコンバートされた190cmの大型右腕・三河吉平の先発で試合が始まる。
 試合は花咲徳栄の思惑通り、春日部共栄・三河の立ち上がりを攻め、1回裏一死から2番・中井がレフト線へ二塁打を放ち出塁すると、続く田村もライト線へタイムリー二塁打を放ちまず1点、さらに4番・南もレフト前ヒットを放ち一死一、三塁とする。だが、5番・栗島駆、6番・渡壁幸祐が連続三振に倒れ1点のみでこの回の攻撃を終える。

 すると春日部共栄もすぐに反撃を開始する。2回表、この回先頭の飯島梢太がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く迫田翔太がきっちりと送り一死二塁とする。ここで6番・土谷洸介が左中間へタイムリー二塁打を放ち1対1の同点に追いつく。

 試合は2回以降春日部共栄・三河が投げ下ろす直球の威力と縦の変化球の切れが良く、強打の花咲徳栄打線をノーヒットに抑えたこともあり、ここから春日部共栄がやや押し気味に試合を進める。

 4回表には二死から5番・迫田が左中間へ二塁打を放ち出塁すると、6番・土谷、7番・森田翔が連続四球を選び二死満塁とチャンスを広げるが、後続が倒れ無得点に終わる。
 その後も毎回走者こそ出すが、なかなか勝ち越し点が奪えない春日部共栄に対し、花咲徳栄打線も得意の3巡目を迎え徐々に春日部共栄・三河の縦の変化球を捉えはじめる。

 そして迎えた6回裏試合が動く。
 この回先頭の田村が四球を選び出塁すると、続く南も送りバントの構えで揺さぶりながら四球をもぎ取り無死一、二塁とする。さらに5番・栗島も同様に揺さぶり四球を選び無死満塁とすると、ここで春日部共栄・三河はやや足を攣る仕草を見せる。

 だが、春日部共栄ベンチはこれまで好投していた三河に続投させる。その結果、三河は続く渡壁にも押し出しの四球を与えマウンドをエースナンバーの三枝翔へ譲る。だが、三枝も花咲徳栄の勢いを止められない。一死から8番・髙森へ押し出しの死球を与えると続く南雲へライト前2点タイムリーを浴び5対1とされ試合の大勢は決した。

 それでも春日部共栄は最終回意地を見せる。この回先頭の代打・昼間勇星がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く代打・岡﨑大も四球を選び無死一、二塁とする。
 だが、そこは百戦練磨の髙森である。招いたピンチにも動じず、後続を落ち着いて打ち取り内野ゴロの間の1失点で切り抜け、花咲徳栄が5対2で春日部共栄に勝利した。

 まずは春日部共栄だが、この日先発した三河は良く投げた。初回浴びた二塁打2本もややエラー気味であり、彼は責められない。悔やむべくはコロナ禍で春季大会など実践を経験できなかったことか。それにより、6回裏バントの構えの打者に対し、シンプルにワンアウトを確実に取りに行けばいい場面で、ストライクを取りに行くが取れず、傷口を広げてしまった。このあたりは実戦経験の少なさが露呈してしまった形だ。打線も終始やや押し気味に試合を進めながら、あと一本が出ず悔しい敗戦となってしまったが、幸い春日部共栄にはバッテリーを含め昨秋を経験した2年生が多いだけに秋以降の巻き返しに期待したい。

 一方の花咲徳栄も、この日勝利したが甲子園の疲労を差し引いても決して手放しでは喜べない内容であろう。
 エース髙森は疲労も残る中安定した投球を続けている。打線もこの日僅か4安打ながらも3巡目には相手の変化球にも対応し、少ないチャンスを確実に物にするその試合巧者ぶりはさすがだ。

 だが、もちろん交流試合直後であり疲労も考慮しなければいけないが、交流試合の時から打線はやや低調なままであり、今後一回打線が爆発する試合を作らないとチームは乗っていかないであろう。この打順は機能しているとは思えないが、岩井監督の性格を考えると再度打順を大幅に組み替えることは考えにくい。そのためにも未だ当たりの戻らない主砲・井上の復調が待たれる所だ。野球はリードオフマンが出塁しないと、得点力は上がってこない競技だけに。

(記事=編集部)

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