続・インコースストレートの攻防



豆田泰志(浦和実)

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 例年の埼玉県春季大会決勝戦というと、ここ数年は浦和学院花咲徳栄のカードが定番であったが、今年は春15年ぶりとなる春日部共栄対春は初の決勝進出(秋の決勝進出は19年前)という浦和実というフレッシュな顔合わせとなった。

 この両者は昨秋の準決勝でも対決しており、その時は延長12回の末、1対0で春日部共栄が勝利している。浦和実にとってリベンジマッチとなるが、この試合はセンバツ出場のかかった秋とは意味合いが違う。既に関東大会もAシードも決まっており、しかも前日の準決勝で豆田 泰志(2年)が6回1/3、三田 隼輔(3年)も2回2/3を投げている。さらに昨秋の春日部共栄戦で豆田、三田両投手共に投げており、球筋は既に見られている。浦和実は他の投手を試すか、三田を先発させるかと思われた。だが、このGW大入りの県営大宮球場決勝の雰囲気で投げられる投手ということを考え新しい投手を先発させることを諦め、三田、豆田と順番を入れ替えることも嫌った。必然的にいつも通り豆田を先発させるという選択肢となる。だが、彼はまだ2年生であり、無理はさせたくない。3,4イニングが目途と聞いていた。

 インコースへの制球が良い豆田が先発するということは、前回同様テーマは、春日部共栄打線対浦和実・豆田のインコース攻めという攻防戦となる。ただし、豆田は一冬を越し球威、球速がUPしている。この日も連投ながらMAXは前日より1km上がり139kmを計測するなど万全である。一方の春日部共栄打線も浦和実戦後の活躍は言うまでもないが、横浜・及川を粉砕するなど関東大会決勝まで駆け上がりセンバツへ出場した。不祥事による監督交代やセンバツ初戦大敗のショックもあったか、今大会はこれまでやや本来の打棒は見られないが、それでも大会が進むにつれ徐々に復調の気配を感じる。

 春日部共栄は、先発に前日同様エース村田 賢一(3年)以外を試す選択肢を取る。先発はオーソドックスな右腕斎藤謙心(3年)が登板し試合が始まる。

 序盤は浦和実ペースで進む。

 まず初回、浦和実春日部共栄・齊藤の立ち上がりを攻め立て、一死から2番・松村裕大(2年)がセンター前ヒットで出塁すると、続く長谷川 俊大(3年)の所で浦和実ベンチはエンドランを仕掛ける。これが見事に決まり、長谷川がライト前ヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げると、4番・竹内 琉生(3年)の打球はボテボテの内野ゴロとなり併殺崩れで幸先良く1点を先制する。

 春日部共栄もその裏、豆田の立ち上がりを攻め、先頭の黒川 渓(3年)がレフト前ヒットを放つと初球で二盗を決める。春日部共栄がお得意の速攻を見せると、続く木村 大悟(3年)のセカンドゴロの間に黒川は三塁へ進む。だが、3番・平尾(2年)はファーストライナーで凡退すると、続く村田も三振に倒れこの回は無得点で終わる。

 立ち上がり浦和実バッテリーは様子を見ていたように見えた。相手も対策を立ててくるであろうということを踏まえ、そこまでインコース攻めをするでもなくバランスよく攻めていた。実際平尾の打球はインコースのストレートを完璧に捉えられた紙一重の打球であり、その印象は強く持ったであろう。