福井 一朗選手 (佐賀北)
寸評
2年ぶりの甲子園出場に導いた右の本格派。甲子園で最速142キロを計測。佐賀北は2007年から3回目になるが、甲子園に出場した佐賀北の投手の中では、ナンバーワンの素質を持った投手ではないだろうか。 (投球内容) 前評判で、140キロを投げると聞いていても、実はそれよりも5キロ下回って135キロと言うパターンは多いのだが、福井は前評判通りの速球派右腕だった。 右スリークォーターから投げ込む直球は常時135キロ~142キロを計測。力を入れれば、コンスタントに140キロを計測しており、高校生としては威力十分。空振りを奪えるほどではないが、威力があるストレート。 変化球は120キロ前後のスライダー、120キロ前後のチェンジアップ、100キロ前後のカーブを投げ分ける。変化球のコントロールはあまりよくなく、チェンジアップが決まらなかった。本当はチェンジアップで空振りや内野ゴロを打たせるなりで、打たせていきたかったが、140キロ台のストレートで押すしかない。そういうパターンはえてして打たれやすい。 (投球フォーム) ノーワインドアップから始動する。左足を胸の近くまで引き上げ、右足の膝を適度に曲げながら立つが、もう少し左足が一本足で立ってバランス良く立てるようになると尚良いだろう。その後、左足を三塁方向へ伸ばしていきながら、重心を下げていき、前足を伸ばして着地する。 その時、踏み出し足がやや開いてしまい、左肩の開きもやや早くなっており、出所はそれほど見にくい選手ではなく、140キロ台のストレートを投げていても打ち返されている。テークバックは内回りの旋回をしていきながら、トップを作り、そこからリリースに入るが、テークバックに入ってからリリースに入るまでの腕の振りが実にスムーズで、ぎくしゃくさを感じず、鋭い腕の振りが出来ており、140キロ台を生み出せる要因ともいえる。 そして最後の体重移動では左足を踏み出す時から、軸足(右足)の膝を曲げて、滑らかに真っ直ぐ踏み出し、ロスのない体重移動が出来ており、最後のフィニッシュでもしっかりと腕が振り抜いた状態を終えることが出来ている。 腕の振り、球持ち、体重移動が優れた投手。今の腕の振りの速さに加え、さらに体が出来れば、常時140キロ台・最速145キロも見えてくる投手だろう。
更新日時:2014.08.15
将来の可能性
まだ制球力、コンビネーション面で課題を残している。未完成だが、だが持っている素質ならば、甲子園に登場した佐賀北の投手陣の中では屈指。上の世界で、どんな活躍を見せるのか、追いかけていきたい逸材。ぜひ4年後にはドラフト候補として取り上げられる存在に成長することを期待したい。
更新日時:2014.08.15