木村 颯太選手 (佐賀商)
寸評
12年ぶりの出場を貢献した右の本格派。自己最速の146キロのストレートを計測するなど、大きく成長した姿を見せてくれた。 重厚な下半身を土台にして、下半身主導のフォームから繰り出すストレートは常時140キロ~145キロを計測しており、速球の勢いはあり、思わず詰まってしまう球質の重さは素晴らしく、佐賀大会の時よりもはるかにストレートの球筋が素晴らしい。また、脱力した動きから一気に腕を振り出すことができるので、打者からすればタイミングはととりにくい。ひざ元に厳しいストレートを投げることができており、実戦力は高い。 ただ、重心を下げて、そのまま横移動でスリークォーター気味に腕を振っていくので、ボールに角度を感じない。そのため、序盤は良くても、慣れてくると、140キロを超えていても、合わせられやすくなる。実際、高岡商の打者は後半になるにつれて気持ち良くバットを振ることができていた。 変化球の精度は高い。120キロ前後のスライダー、130キロ前後のフォーク、110キロ前後のカーブの3球種。ストレートと同じ腕の振りで投げることができており、特に130キロも越えるフォークは簡単にミートができない精度の高さがある。 木村のピッチングを見ると低めへの制球力の高さ。ストレートはひざ元に厳しく決まり、スライダーは右打者の外角、左打者のひざ元へ厳しく投げ込むことができており、さらに要所でフォークを織り交ぜて、三振を奪うことができている。 (投球フォーム) ワインドアップから始動する。左足を胸元の近くまで上げていきながら、右足の膝を真っすぐ立つ。左足をショート方向へ伸ばしていきながら重心を下げていくが、お尻を落とせるフォームではなく、着地の幅が狭い。打者からすると、角度を感じないフォームになる。そのため、フォームの間合いや緩急でタイミングを外さないといけなくなる。木村の場合、ワインドアップで、ゆったりと間合いを作ることでタメを作ることで、タイミングを外すことができる。コンパクトなテークバックを取り、リリースに入る。打者寄りでリリースすることができており、リリースポイントも安定しているので、ひざ元へ投げることができる。横回転で投げるフォームとしては実践的な投球フォームといえるだろう。
更新日時:2019.02.14