糸満vs沖縄尚学
糸満先発の新垣僚麻
秋の主力の期待通りの働きで、糸満が沖縄尚学を下しベスト4進出!
第131回九州地区高校野球大会で初優勝を果たした沖縄尚学。中軸を任される久保柊人や、初戦の日章学園戦で4安打を放った西平大樹ら1年生の主戦は、明治神宮大会へと向かうため今回の1年生中央大会では完全なベストメンバーは組めないが、それでも九州大会でベンチ入りした181cm80kgの巨漢安里健を中心にして望んだ1回戦で、中部北地区全勝通過の嘉手納に7-0のコールド勝ちを収めるところは、名門の名に恥じない戦いをしたと言えるだろうか。
対する糸満は、夏の選手権に3度出場している上原忠監督曰く「 沖縄尚学さんの21人(この日は15人)に対し倍近い40名だけれども、南部の田舎の選手が集まっただけのチームですよ。」と謙遜の言葉。いやしかし、夏の選手権県大会に1年生ながら7番サードで出場し、秋季県大会ではピッチャーも務め4番に座った新垣僚麻を筆頭に4人が秋のレギュラーでもあるなど決して沖縄尚学に引けをとらない面子を揃えているのだ。
その糸満の先発は新垣僚麻。元は内野手でありながらも、抜群の野球センスで今では投手もこなすマルチプレイヤーだ。
対する沖縄尚学は眞榮城健。「この子次第。打たれたら負けるでしょう。」と語った伊志嶺大吾副部長(この大会は監督登録)の期待を背負って糸満打線に立ち向かっていった。
試合は糸満・新垣が素晴らしい投球で沖縄尚学にチャンスらしいチャンスを与えなければ、沖縄尚学・眞榮城は走者をためながらも粘り強いピッチングで要所を抑えるなど、流れはやや糸満に傾くも序盤の4回を終えて0-0と、緊張感が続く幕開けとなった。
糸満・神谷大雅
そんな展開をこじ開けたのはやはり糸満であり、中心選手の四人衆であった。
5回糸満は、先頭の神谷がレフト前へヒットを放つと盗塁でチャンスを広げる。犠打で一死三塁とし次打者の三ゴロの間に瞬時に生還し先制した。中学の陸上大会100mの部で、1年生から三連覇を達成したという韋駄天の脚を、ここぞとばかりに存分に披露した。
1点を追う沖縄尚学は6回。こちらもやはり頼れる男の一打であった。3番安里の一振りは右中間を突破する三塁打!糸満の中継が乱れボールが三塁ファールグランドを転々とする間にホームを走り抜け同点に追い付いた。
意気上がる沖縄尚学。しかしその直後に黙らせたのは投打の柱である新垣だ。6回に1点を加えた糸満は、7回にも2番手としてマウンドに立つ知念伸を攻め、一死二塁とすると頼れる4番新垣が、柔らかいバット捌きで逆らわずに左中間へ運ぶと3点目が入った。
8回には下位打線の連続内野安打などで満塁とし、9番小波津佳希のライト前タイムリーと、1番神谷大雅の犠飛で2点を追加。5-1でほぼ試合を決定づけたかに見えた。
あとがなくなった沖縄尚学は、代打渡名喜守史が右中間を破る三塁打でガッツポーズすると、次打者の犠飛で生還した。さらに二連打で一死一・三塁とし再び犠飛で得点を重ねたが執念の反撃もここまで。
二桁安打を放った糸満が逃げ切りに成功し、3年振りのベスト4を決めたのだった。
(文=當山雅通)
糸満 | TEAM | 沖縄尚学 | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
遊撃 | 神谷大雅 | 1番 | 遊撃 | 赤嶺 拓 |
右翼 | 照屋弘也 | 2番 | 二塁 | 渕上大蔵 |
左翼 | 大城幸泰 | 3番 | 三塁 | 安里 健 |
投手 | 新垣僚麻 | 4番 | 投手 | 眞榮城健 |
一塁 | 砂川 聖 | 5番 | 左翼 | 西銘竜生 |
三塁 | 田中 慶 | 6番 | 右翼 | 金城太希 |
中堅 | 上原拓海 | 7番 | 捕手 | 伊良部渉太 |
捕手 | 金城健介 | 8番 | 一塁 | 佐野健斗 |
二塁 | 小波津佳希 | 9番 | 中堅 | 仲里洋希 |