力投する立田(大和広陵)

踏み出した大きな一歩

奈良県大会決勝戦(10月13日)でのことだった。
エースの登板を回避させた大和広陵・若井康至監督はその理由をこう説明した。
「まだ、彼は1年生でこれからたくさんの経験を積むことができる。その中で、彼の将来性を考えた時に、無理をさせなくてよいのではないか、と。チームにとっても、大事なのは(近畿大会切符がかかる)準決勝と近畿大会だと思っていましたから」

 若井監督の選択は正しかった。
近畿大会の開幕戦に登場した大和広陵のエース・立田 将太(1年)は、噂にたがわぬピッチングを見せつけた。

圧巻だったのは初回と9回のピンチの二度の場面だ。

1回表。

立田はちょっとした制球の乱れから2本の安打で先制を許す。奈良県大会から数えて27イニングにして初めての失点だった。しかし、続く、滋賀学園の4番・峯岡俊輔、宮川 敬太(ともに2年)を迎えてからスイッチを入れ替えたのだ。

峯岡、宮川を連続三振。

立田は言う。
「(初失点をした瞬間は)あー、取られたなって思ったんですけど、気持ちを切り替えていけた」

その裏、自らのタイムリーなどで逆転すると、そこからは主導権を握った。

9回表は3対1の2点リードで迎えた。

先頭の佐藤祥(2年)にこの日、3本目の安打を許し、4番・峯岡にはレフト線を破られ、無死二、三塁のピンチ。若井監督は、「守りに入る前の8回裏の1死三塁のチャンスで立田が凡打をしていた。それが影響していた」と語る。一本のヒットで同点という窮地に迫られたのだった。

だが、立田は、ここでもスイッチを入れ替えた。

宮川をアウトコース高めのストレートで三振。次打者を四球で出すも、途中出場で7番に入る堀家廉太朗(1年)をチェンジアップで三振。続く代打・菱川和樹(2年)をセカンドゴロに抑えた。この日、最大のピンチで、さらには野手も守りにくいピンチで2三振を奪い、最後は力で押し切ってのセカンドゴロである。