~小関順二の関東大会特別観戦記~

良い野手が両チームにいて楽しめた。まず、下妻二の3番・新山 直樹(3年・三塁手・右投左打・173/72)。

この選手は打ち方そのものがよかった。肩辺りに置いたグリップがまったく動かず、バットの動きもない。これだけで上体のブレが防げる。さらにいいのが下半身の動きのなさ。
始動の動きが小さい。それでいてステップを粘っこく出し、緩急に対応できるようになっている。スイング軌道は必殺のインサイドアウト。第1~3打席まで、三振2、センターフライ1でも形のよさが飛び抜けていて、ノートには即座に要注意の記号を書いた。それでも結果が出なければこういうところで紹介しにくい。第4、5打席と続けて低めのストレートを捕手寄りで捉えて左前にもっていくヒットを見て間違いないと思った。
守りも良い。8回の1死一塁の場面では、前橋商中村 光瑠(2年・一塁手・右投右打・175/80)の三塁線方向の打球を逆シングルでさばき、素早い二塁送球で5-4-3の併殺を完成させた。1対1の同点だったので大きいプレーである。課題は特徴のない走塁。

前橋商では7番・増村 和紀(2年・遊撃手・右投右打・178/62)に魅了された。

打撃は変則の部類か。第1打席、外角の変化球に対して見送ると思ったタイミングからバットが出て、左中間前に落とす渋いヒット。打たないと思ったタイミングだったのでストップウォッチを押し忘れたのが悔やまれる。単打の打球なのに走りを緩めず、二塁を陥れてしまったのだ。速いなあと溜息が出た。
第4打席は9回表、1死三塁の場面で訪れた。1ボールからの2球目にバットが反応し、打球は軽々とセンターの頭を越える長打性の当たり。三塁走者が楽々と生還して勝ち越し、さらに打者走者の増村の足が止まらない。脇目を振らず一塁、二塁を回り、さらに三塁も回り、何とランニングホームランにしてしまった。ストップウォッチに映し出された数字は、何と「14.78」。最近では記憶にない、実戦でのベース1周15秒切りである。
練習でもベース1周14秒台は速いほうである。それが実戦で、さらに速いタイムを出すのに不利な右打者が記録したのだ。
残念ながら2回戦で前橋商横浜隼人に敗れた。だが、春で終わりではなく、勝負は夏。

下妻二の新山と、前橋商の増村。興味のある方は夏の大会での彼らを是非見ていただきたい。


(文=小関 順二)