日大三打線の印象

 「日大三打線は凄い」
光星学院のエース秋田 教良が使った言葉だ。実は前日の準決勝で、関西水原 浩登投手も同じような言葉を使った。
決勝での大量失点。マウンドで孤独に立ち続ける投手の心境はどんなものなのだろうか。

 この日、秋田の立ち上がりは悪くなかった。いや、逆に球は走っており、調子は良かったというべきか。
その象徴が1回、1死1、2塁での4番横尾 俊建の場面。
1ボール2ストライクから横尾がファウルで2球粘った後の6球目。秋田が3回首を振って投げた球を、横尾はビックリしたような様子で空振り三振を喫した。球種はカーブ。
準決勝(作新学院戦)で「タテの変化球を多めにいれないと」と、捕手の松本憲信が考えて取り入れた球が、日大三には情報が入っていなかった。
秋田は2回にも、味方のミスで走者を背負ったものの無失点。3回も三振とセカンドフライで簡単に二死を取った。

だが、わずか“一球”が日大三に隙を見せることになる。
3番畔上翔への1球目、内角を突いた146キロの球が畔上の体に当たってしまった。
続く4番横尾が2球目を打ちあげたが、これがポテンヒットに。すでにスタートを切っていた畔上が三塁を陥れ、2死1、3塁となった。

打席は5番の髙山 俊
「焦りはなかった」という秋田だが、外を狙ったスライダーが甘く真ん中に入ってしまった。
高山はそれを見逃さずに振り切る。打球は鋭いライナーでグングン伸び、センターバックスクリーンへ飛びこんだ。先制となる3ラン。
時間(球数)を要さず、わずか一発で仕留めてしまう相手打者のスイングに、投手が恐れはじめる瞬間でもあった。
ただ、それでも秋田は次の打者を三振に取り、4回も3人で切り抜けた。
「打って取り返してやる」というチームメートの言葉を勇気に、秋田は怯んでいなかった。