8への起点は・・・

 試合後の通路下。横浜・渡辺元智監督は「結果的には・・・」という言葉を何度か使った。
インタビュールームに入った選手の目にも涙は少なく放心状態。
まるで負けた気がしないという空気が漂っていた。

横浜にとって、序盤の試合の入りはほぼ完璧だった。先発の2年生エース柳 裕也が、1回を三者凡退に抑えて立ち上がる。
その裏、2死1,3塁から重盗で1点を先制する。2回には9番伊達 直紀、3回は4番齋藤健汰にタイムリーが出て1点ずつを追加。いずれも先頭打者が出塁したのを、次の打者が一発で送ってのものだった。
「思い通りの展開」と横浜のマスクを被る近藤。5回にはその近藤が4点目となるタイムリー。
力勝負で劣る横浜が、チャンスを確実にものにしてリードを広げていった。

試合の流れが変わったのは6回表。ここまで智辯学園打線を1安打に抑えてきた柳が、1番大西 佑季に二塁打を浴びる。2死3塁となって打席は3番青山 大紀。青山は4球目をライト前に運んで1点を返した。

この一打がターニングポイントだ。
智辯学園のマウンドを守る男の一打。青山はこれで目覚めた。
6回以降は「もう1点もやらない」という気持ちを前面に押し出す。微妙なコントロールに苦しみ、神経を使った前半とは別人のようなピッチングになった。