2009年10月18日 皇子山球場

育英(兵庫2位)vs郡山(奈良2位)

2009年秋の大会 近畿地区高校野球大会 1回戦

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堀田投手(育英)

セオリーは生きている!

 野球にはセオリーや格言みたいなものがいくつか存在している。

 この試合で、一番に思い浮かんだのが「回の先頭打者を四球で出すと、得点につながる」という野球界の格言である。

 1回裏、いきなりその場面が生まれる。守る 育英 は、エースの堀田がいきなり四球を出してしまう悪い流れを作ってしまったのだ。さらには2番・中村の犠打で、 育英 の捕手・井村が一塁へ悪送球。いきなり、無死・一三塁のピンチを作った。

 しかし、この相手からもらった最大の好機を、郡山は逃してしまう。3番・明崎の一塁ゴロで、三塁走者の梶川が本塁で憤死。4番・赤熊は併殺打に倒れ、無得点に終わったのだ。格言どうりにいけば、得点の可能性が高かった機会を逃したのだ。

 4回表、今度は 育英 に好機。先頭の川部が四球で出塁したのだ。次打者はバント失敗ののち三振に倒れるも、4番・井村が左中間を破る適時二塁打を放ち、1点を先制。さらに、船原・堀田と続き、さらに2点を加えたのだ。

3回までは両者無得点だっただけに、この3点は非常に大きい。このあと、お互い1点を取りあったあと、9回表に、 育英 が4得点を奪って試合を決めた。途中、郡山が反撃に出た場面もあったが、格言をモノにできたチームと、そうでないチームとで分かれた試合であった。

郡山はこれで、甲子園出場をほぼ絶望になった。2年前の近畿大会、さらにその前年にも出場しているが、苦しい日々が続く。この夏も決勝で敗れている。その要因を挙げるとしたら、走塁への意識が低いような気がしてならない。

たとえば、この試合、郡山の打者走者が、一塁を駆け抜けたタイムはほとんどが5秒台か4秒代後半だった。 一般的に俊足といわれるのはおよそ、4、3秒以内。チームに5秒台の選手が一人か二人はいるものだが、郡山の場合は、たくさんの選手が5秒台を刻んでしまっていた。切ったとしても、4、8.9秒。足が遅いのではなく、走ることへの興味が足りないのではないだろうか。

郡山の打撃力は年々、厚みを増している。準優勝した今年の夏も、3回戦で智弁学園に打ち勝ち、決勝の天理戦では2ケタ安打を記録している。打撃の確実性や破壊力は私学に後れを取っていない。

 しかし、それに見合うほどの得点力がない。走塁への意識が薄いからではいかと、僕は思っている。

これからの戦いに向けて、意識を向けてほしい改善点だ。もっとも、奈良県は、走塁への意識が他府県と比べても、劣っている地域ではあるが…。

(文=氏原英明