スライダーで打者を圧倒 福岡の強豪ポニーに逸材投手がいた



勝利の瞬間、ガッツポーズする筑後リバーズ・福﨑 謙士

<ポニーリーグ第7回全日本選抜中学硬式野球大会:筑後リバーズ1ー0神田Rebaseポニー>◇25日◇2回戦◇コザしんきんスタジアム

 21年の優勝チーム・筑後リバーズが、関東地区の新鋭・神田Rebaseポニーとの投手戦を制した。0対0で迎えた6回、1死から四球で2番・仁田原 光統内野手(3年)が出塁。相手バッテリーのミスなどもあり、2死三塁としたところで4番・山田 幸聖投手(3年)が左前適時打。これが決勝点となり、筑後リバーズが勝ち切った。

 チームを指揮する入部監督は試合後、「決勝戦だと思って準備してきた」と初戦からかなり警戒して準備を重ねてきたという。たしかに神田Rebaseポニーは投手、野手ともにパワフルなプレーが印象的で、ベンチの雰囲気も素晴らしい。ユニホームのデザインも相まって、アメリカ人チームと対戦しているかのような錯覚もあった。ちょっとしたところから勢いに乗られると、大けがになりかねない危険なチームだった。

 そんな神田Rebaseポニーに攻められてピンチを迎えたのは5回だった。0対0の状況で、安打と2つの四死球が絡んで2死二、三塁の場面。終盤での失点が許されない場面で、ベンチは中堅手だったエース・福﨑 謙士投手(3年)を2番手のマウンドに送った。難しい場面だったが、「気持ちで負けるわけにはいかなかったので、バックを信じて(三振を)狙いに行った」と渾身の直球で見逃し三振。エースとしてこれ以上ない投球で、チームに勢いを与えた。

 6回もランナーを出したものの、危なげない投球。自己最速を更新する129キロの直球に加えて、「握り方は真似している」というパドレス・ダルビッシュ 有投手(東北高出身)のスライダーを織り交ぜて多くの空振りを奪った。「相手打者も力があるので、そこで勝負しない」と力では戦わない代わりに、大きく曲がるスライダーにあっていないことをマウンドで感じて多投。冷静な判断で真っ向勝負はしなかったが、試合には勝った。

 「開く癖がある」というフォームの弱点を克服するために、左腕で壁を作りながら、右の股関節に体重を乗せて力を溜める。そこからは球持ちを長くして、ギリギリまでリリースを我慢すると、最後は右足の蹴りと同時に手首を立てた状態で球を切るようにして投げる。強烈な縦回転をかけて、低めへ強い直球を投げていた。後ろで見ていてもスピードガン以上の迫力があった。

 勝負どころで見せる度胸と冷静な分析。そしてスピードと球質など、将来性が楽しみな福崎。「(次戦も)攻めた投球をしたい」。今大会でどれだけブレークするか楽しみだ。

(取材=編集部)

★両チームのスタメン

<神田Rebaseポニー>
1番(中)岡崎 智也
2番(遊)馬場 創志
3番(一)青木 智潤
4番(捕)蔵並 虎之介
5番(右)松本 怜青
6番(投)加納 海力
7番(三)清水 瑛太
8番(左)赤堀 慧侍
9番(二)竹内 歩生

<筑後リバーズ>
1番(三)黒岩 空翔
2番(遊)仁田原 光統
3番(中)福﨑 謙士
4番(投)山田 幸聖
5番(捕)堤 蓮斗
6番(一)野中 大翔
7番(右)田中 光輝
8番(左)井上 琉輝也
9番(二)梅野 颯翔

PHOTO GALLERY フォトギャラリー

写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。