昨秋、世代No.1左腕に完封負けした報徳学園はいかにして攻略したのか?

石野 蓮授(報徳学園)
<センバツ高校野球:報徳学園7-5大阪桐蔭>◇31日◇準決勝
報徳学園(兵庫)が大阪桐蔭(大阪)の世代No.1左腕・前田 悠伍投手(3年)を攻略した一戦。中学時代、前田とチームメートだった林 純司内野手(3年)は昨秋、近畿大会決勝で敗れた悔しさを忘れずに冬の練習に取り組んできた。
「昨秋、近畿の決勝まで行かせてもらいましたが、決勝まで行ったことよりも、負けたことが悔しかったですね」
そこから練習に明け暮れた選手たちは明らかに成長を見せていた。前田の速球、変化球に対しても全く苦にしないほどレベルアップを見せていた。
前田が投げ込む内角直球、外への変化球。この2つのどちらかを狙い球に絞らせ、打つ球種は選手たちに委ねさせた。
ヒットになり、勢いに乗る報徳学園の選手たち。勝ち越し打を打った4番石野 蓮授外野手(3年)の攻めについて、大阪桐蔭の南川 幸輝捕手(3年)は「ツーシームですが、高めに浮いてしまいました」と悔やむ。
南川が反省したのは、大胆な攻めができなかったことだ。
「速球、変化球にしても投げきる。攻めにしても、相手の裏をかいて大胆な攻めができなかったです。とにかくかわそう、かわそうとリードしたのが捉えられてしまった原因だと思います」
大阪桐蔭バッテリーが戸惑うほど、報徳学園の攻めには勢いがあった。エースの前田は「流れが止められなかったのは自分の実力不足で、止めてこそがエースです。それができなかったので、もう一度、自分を見つめ直して夏に向かっていきたいです」と前を見据えて語った。
昨秋、完封負けした報徳学園は、一冬越えて3安打。レフトゴロを含めると、実質4安打で2点を奪った。全国レベルの投手陣を攻略するこの打線は改めて全国トップクラスであることを証明した。
(記事=河嶋 宗一)