盤石な試合運びに持ち込んだ仙台育英の機動力が実る エースの温存に成功し、大きな1勝



山田 脩也(仙台育英)

<センバツ高校野球:仙台育英6-1龍谷大平安>◇28日◇3回戦

 甲子園で優勝するためには、「勝ち方」というのはとても大事である。長丁場で、勝ち進むごとにタイトなスケジュールになる上で、投手をどれだけ消耗させずに勝てるか。ただそのためには点差をつけて、余裕を持って継投することが重要だ。そういった中で、最後のベスト8進出となった仙台育英(宮城)は理想的ともいえる勝ち方を収めた。須江監督も「想定していた中では最高の展開」と振り返ったように、エースの高橋 煌稀投手(3年)、本格派左腕・仁田 陽翔投手(3年)の温存に成功して3回戦を勝利した。

 野手陣の活躍が大きい。2回戦の慶應義塾(神奈川)の激戦を終え、再び強化してきたのが走塁面だ。須江監督はこう説明する。

「初戦で改めてうちは打てる打線ではないということを認識しました。その中で何を強みにできるかといえば、順延が二度ありましたので、走塁面の強化に取り組むことができました」

 須江監督が大きいプレーと話したのが、1番で主将の山田 脩也内野手(3年)の安打での出塁から盗塁、さらに暴投で三進し、その後、内野ゴロで先制のホームを踏んだ1回の先制点の場面だった。

「あの山田の出塁でチームが勢いづきました」と語るように、積極的に足を絡めた攻撃を見せてくれた。

 また、切れ味鋭いスライダーが光る湯田 統真投手(3年)が7回無失点。球威がアップしたという速球派左腕・田中 優飛投手(3年)が1回を無失点に抑え、甲子園でベンチ入りを果たした佐々木 広太郎投手(2年)が9回から登板、最速143キロをマークし、本塁打を打たれたものの見事に抑えた。須江監督は「湯田がよく投げてくれましたし、ブルペンで球の内容が良いと報告を受けた田中と佐々木も良かった」と経験を積ませることができた。

 機動力を使った試合運びで快勝。須江監督は「準備はたくさんやってきましたが、それが実践できないといけません。今回は選手たちがそれを実行してくれたのが大きかったです」と目指す方向性に対して、選手が実行したことを称えた。

 準々決勝の相手は報徳学園(兵庫)。須江監督は「報徳学園さんはこの2試合で最も力強い野球をしています。うちは決勝戦のつもりでやらないと勝てない相手」と警戒を強める。

 お互い総合力が高く、白熱した勝負が期待できそうだ。

(取材=河嶋 宗一