海星が多彩な攻撃で社投手陣を攻略して初戦突破



平尾幸志郎(海星)

<センバツ高校野球:海星5-1社>◇20日◇2回戦

 海星(海星)が終始試合を支配し、社を下して初戦突破を果たした。昨年夏の甲子園を経験した両チームの対戦は、海星が多岐にわたる得点の奪い方を見せて快勝した。

 試合を決定づけたのは、主砲の一振りだった。2対1で迎えた5回2死一、二塁で、海星のプロ注目4番、田川 一心捕手(3年)が右中間へ適時三塁打を放って2点を追加した。1点を返された直後だっただけに効果的な追加点。特に、2死からの得点は相手に大きなダメージを与えた。

 田川の打撃は将来性を感じさせた。外よりの球を逆らわず右に弾き返した。社の右翼手が右中間方向へ打球を追ったが、その上を越えた。その打球の追い方からして、右翼手の予想をはるかに上回る打球の勢いだったことが想像できる。右へ飛距離が伸びる打球を打つのは簡単ではない。将来も、グンと伸びる可能性を感じさせた。

 海星の打線は多様な形で得点した。初回の先制点は犠牲フライ。2回は二盗から適時打で2点目。5回の追加点は主砲の長打。8回のダメ押しは内野ゴロの間の1点だった。

 2点目と5点目のホームを踏んだのは平尾 幸志郎外野手(3年)だった。2回は先頭打者として左前安打で出塁すると1死後に二盗に成功。角野 夢才志外野手(3年)の右前適時打でホームインした。8回は先頭打者で左前安打で出塁。その後、二、三塁となって内野ゴロの間に1点が入るが、三塁走者だった平尾は三塁ゴロでホームインした。自分の目の前で打球を処理した三塁手がややステップして一塁へ送球するのを見ると一気に本塁へスタート。本塁は間一髪のタイミングだったが、大きく右側へスライディングして左手でホームベースにタッチした。鮮やかな走塁。足に自信がないとできない走塁で、練習していないとできない走塁でもある。海星が1点にこだわって練習してきたことがわかるシーンで、長崎の伝統校らしい、しぶとく点を奪う野球をセンバツで披露した。

 社の先発、高橋 大和投手(3年)はあまり打たれて負けたイメージはないかもしれない。9安打されはしたが、攻略されたわけではなかった。海星の「上手い」攻撃に屈しただけだった。コーナーを丁寧につく投球は悪くなかった。夏に向けてさらなる成長を期待したい。

(記事=編集部)