清原だけではない 東海大相模から2本塁打、5得点奪う慶應義塾の強力打線にスラッガー揃う

ホームランを打った慶應義塾4番・福井 直睦
<練習試合:慶應義塾5ー5東海大相模>◇11日◇東海大相模グラウンド
毎年、神奈川の高校野球を盛り上げる慶應義塾と東海大相模による練習試合が実現した。秋の県大会準々決勝、慶應義塾が7対4で東海大相模を下して以来の対戦。慶應義塾はその後、勝ち上がってセンバツ出場を決め、初戦で仙台育英(宮城)と対戦することが決まっている。速球投手を多数揃える強敵を考えれば、ライバルとはいえ東海大相模と対戦できるのは大きな経験になる。
秋は専大松戸・平野 大地投手(3年)に封じられたことを受けて、速球への対応を課題としている打線は2回、4番・福井 直睦外野手(3年)の左翼へのホームランで1対1と追いつくと、4回には6番・渡辺 憩捕手(3年)、そして8番・八木 陽内野手(3年)の適時打で一挙3得点を挙げ、4対1で一気に流れをつかんだ。
反撃の狼煙を挙げた福井は、秋の大会でも中軸を担っていた実力者で、秋が終わった時点で高校通算10本塁打をマークしている。バットを捕手方向にあらかじめ引いた状態で構える。投手方向にバットのヘッドを傾けてトップを作ると、ミートポイントまでヘッドを走らせて鋭くスイングする。反動が大きいスイングだが、軸がぶれずにスイングスピードも鋭いので、引き付けて対応ができている。6回の第3打席は右翼への痛烈な打球だったが、厳しい球にも上手く対応して粘るなど、対応力も一定のレベルにあることを見せた。5番には清原が座っていることを考えても、怖い打者である。
6回には注目される5番・清原 勝児内野手(2年)が、通算9本目となるホームランで5対2と中押し。これで主導権を握ったように思われたが、終盤は東海大相模・子安 秀弥投手(3年)の速球を捉えきれずに、ダメ押しとはならず。その後、東海大相模に追いつかれ、5対5の引き分けに終わった。
試合後、森林監督は「ストレートの打ち損じが多い」と5点を取ったものの、各打者の精度を課題に挙げた。ただホームランを放った福井、清原のみならず、振れている選手が多い。
特に1番・丸田 湊斗外野手(3年)は、センバツに向けて注目したい打者だ。ヘッドを立て、少し左脇を開けてリラックスした無駄の少ないフォームで構えると、軸回転でスイングする。スイングスピードが速く、突っ込むことがないため、ポイントを近づけても自分の形で強くミートできる。2打席目には左中間への二塁打を放ってからはヒットこそなかったが、捉えた打球が多く、広角に長打を出せる雰囲気があり、調子の良さをうかがわせた。
秋は打力の高さを見せてセンバツの切符をつかんだ。課題は多いが、各打者の能力はやはり高い。来る仙台育英戦へ、さらに調子を上げて、聖地で快音を響かせてほしい。
(取材=編集部)