近畿大が2季ぶりの優勝!3連敗スタートから巻き返す


マウンドで歓喜の輪を作る近畿大の選手たち

 <関西学生春季リーグ:近畿大5-1関西大>◇22日◇第8節3回戦◇わかさスタジアム京都

 勝った方が優勝となる近畿大と関西大の3回戦。近畿大が5対1で勝利して2季ぶり49度目のリーグ優勝を果たした。

 近畿大は1回、1死から2番・勝田 成内野手(2年=関大北陽)が右中間へ三塁打を放つと、2死後に4番・榎木 貫太内野手(4年=大阪桐蔭)の左前適時打で先制点を挙げる。

 その裏、先発マウンドに上がったのは投手リーダーの寺沢 孝多投手(4年=星稜)。最終節を前に丸刈り頭にするほどの気合いの入れようだったが、本調子ではなく、いきなり1死満塁のピンチを招く。それでも「抑えられる自信はあったので、自分のピッチングを信じて投げました」と気持ちを切り替えると、二者連続三振を奪い、無失点で切り抜けた。

 これで流れをつかんだ近畿大は4回に1死二塁から5番・白石 晃大外野手(3年=近大高専)が右中間に適時二塁打を放ち、追加点を奪う。寺沢も粘り強い投球を見せて5回無失点と先発の役割を果たした。

 後半に入って近畿大は西本 晴人投手(3年=龍谷大平安)、野口 練投手(2年=星稜)と投手を繋いで必勝態勢に入るが、8回に野口が1死一、二塁から関西大の4番・有馬 諒捕手(4年=近江)に左前適時打を浴び、なおも1死一、二塁と一打同点のピンチ続く。

 ここで近畿大の田中秀昌監督は「投手で気持ちが一番強い子」という北見 隆侑投手(2年=乙訓)を投入。「絶対に打たれる気はしなかった」という北見は3連投の疲れを全く見せず、左飛と二塁ゴロでピンチを脱した。

 9回の攻撃に入る前、近畿大の主将、坂下 翔馬内野手(4年=智辯学園)は「0対0からの気持ちでもう一回行こう」とチームメートに声をかけたという。それに応えるように近畿大打線は集中力を発揮し、2本の適時打で3点を追加。優勝を大きく引き寄せる攻撃となった。

 4点のリードをもらった北見は9回も三者凡退に抑えてゲームセット。近畿大の優勝が決まり、選手たちは喜びを爆発させた。

 「信じていれば何か起こるというのはわかっていた。最高のゲームです」と坂下は嬉し涙をぬぐいながら取材に応えた。久保 玲司投手(日本新薬)、大石 晨慈投手(東邦ガス)ら主力投手が大量に卒業した状態でスタートした新チーム。開幕節の立命館大戦では2試合で17失点を喫して連敗を喫し、続く同志社大との初戦も落として3連敗と苦しいスタートになったが、最後まで優勝を諦めずに戦い抜いたことが優勝に繋がった。

 北見、西本、野口ら昨年までリーグ戦を経験していなかった投手が徐々に台頭。立命館大戦以外は全て3失点以内に抑え、安定した試合運びができるようになった。

 昨年の全日本大学野球選手権では2回戦で優勝した亜細亜大に1対2で惜敗。今回はその悔しさを晴らす大会としたいところ。「代表として関西学生連盟ここにありという結果を残したいですけど、一戦必勝で頑張りたいと思います」と田中監督は意気込みを語った。

 敗れた関西大はリーグ戦終盤でエースの金丸 夢斗投手(3年=神港橘)が右膝の故障で離脱。その中で粘り強く戦い抜いたが、最後に力尽きる形となった。「近畿大戦に関しては力負け。自分たちの思い描く野球をできなかったことが勝ち点を取りきれなかった要因だと思います」と主将の有馬は肩を落とす。あと一歩で栄光に届かなかった悔しさを秋にぶつけたい。

PHOTO GALLERY フォトギャラリー

写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。